フィラデルフィア半導体株指数(SOX)はこの1年で130%も上昇していた。その異常なバリュエーションは誤差を許さない状態を作り出していた——そして水曜日、5つの異なる圧力が同時に襲ったのだ。
エヌビディアにHBMメモリを供給する韓国SKハイニックスは、4~6月期の営業利益が前年比557%増の過去最高60兆5400億ウォン(約41億6200万ドル)に達したと発表した。歴史的に見れば驚異的な数字だ。ところがアナリスト予想は約64兆ウォン。このミスでSKハイニックス株はソウル市場で10~19%急落した。
このパターンは7月初旬にサムスン電子が踏んだ轍そのものだ。サムスンもエヌビディアやアップルを上回る増益を記録しながら「高いAIハードル」に届かず8%下落していた。つまりAI半導体株は「完璧な業績」を値段に織り込み済みだったのだ。「良いが完璧ではない」では通用しない相場になっていた。
7月28日、AMDはCore Scientificと500メガワット(初動)、将来的には2.5ギガワットに拡大可能なデータセンター契約を発表した。AMDのチップを搭載した施設をエンドユーザーに提供する仕組みで、AIインフラのボトルネック解消を狙った案件だ。
ところが投資家はこれを「循環ファイナンス(chipmakerが自ら需要を作るための過剰支出)」と受け止め、強気材料ではなくリスクシグナルと解釈した。ウェドブッシュ証券は「この取引には裏がある」と指摘。AMD株は5.7%下落し、AI売りの流れに飲み込まれた。
この日の売りは大型テクノロジー企業のAIインフラ投資が持続可能かという根本的な疑問に根ざしている。エヌビディアがOpenAIのデータセンター大型プロジェクトに約2500億ドルを拠出する交渉をしているとの報道は「過剰投資では?」という不安をあおった。エヌビディアのAIインフラ契約総額は7500億ドルに上り、AI関連債務への懸念が広がった。
モーニングスターのチーフ・エクイティ・ストラテジスト、マイケル・フィールド氏は「この下落はファンダメンタルズというよりセンチメントによるものだ。単純に言えば、信認の喪失だ」と述べている。
複数の情報が同時に流れ、中国半導体リスクが一気に顕在化した。
これらのニュースは中国が世界のサプライチェーンに半導体を大量供給し、韓国・米国メーカーの利益率を圧迫する懸念を呼んだ。ブルームバーグのアジア半導体株指数はこの日だけで最大7.5%下落した。
FRBの2日間の会合は7月29日(水) に終了し、午後に政策決定が発表された。原油価格の急騰(イラン情勢悪化で約8%上昇)がインフレ懸念を強め、市場は約30%の確率で利上げを織り込んでいた。
FRBは結果的に金利を**3.50~3.75%**で据え置いたが、FOMC委員3人が0.25%の利上げを主張——タカ派サプライズがリスク選好を冷やした。決定前の不確実性が売り圧力を強めたのは言うまでもない。
7月29日の暴落は多要因が一気に炸裂した結果だ。AI関連銘柄は「実績を見せよ」という局面を迎え、過去最高益でも通用しなかった。中国は脅威の競争相手として現実味を帯び、FRBはタカ派サプライズの影を落とし、良いニュース(AMDのデータセンター契約)でさえリスクシグナルに読み替えられた。
フィラデルフィア半導体株指数の異常なバリュエーション(前年比130%上昇)が全ての要因に対する許容度を奪い、市場は一気に均衡を失った。アナリストの言葉を借りれば、「単純に、信認が喪失した」のだ。