この記録的な好業績の最大の原動力は、2026年上半期に起きた米・イスラエルとイランの戦争です。この紛争により、原油、精製品、天然ガス市場で価格が急激に変動し、グレンコアのトレーダーが活かせる大きな裁定取引(アービトラージ)の機会が数多く生まれました。
世界有数の石油トレーダーであるグレンコアは、混乱した供給ルート、刻々と変化する貨物の流れ、精製マージンの乱高下から大きな恩恵を受けました。こうした市場の「ゆがみ」が、平時には存在しないような価格差を生み出したのです。
利益の中心はエネルギー関連コモディティでした。金属や石炭のトレーディングも貢献しましたが、その度合いはエネルギーほどではありません。
この半期の利益は、ロシアによるウクライナ全面侵攻でエネルギー危機が起きた2022年に次ぐ高水準です。また、2025年通期のマーケティング部門利益(29億ドル)をすでに14%上回っています。グレンコアの年間サイクル調整後マーケティングガイダンスレンジ(23億~35億ドル)の上限に対する達成率は94%に達しました。
CEOのゲイリー・ネーグル氏は、中東戦争がコモディティ市場、特に原油や精製品、硫酸の供給に「混乱」をもたらしたと指摘。グレンコアは、2026年後半もコモディティ価格の上昇がコスト増を相殺してくれると見込んでいます。
トレーディング部門の大幅な利益増に加え、グレンコアは2026年上半期の生産実績も発表しました。全体的には増減が混在する結果となりました。
半期で年間目標に迫る好業績を受けて、トレーディング部門のこの高い収益力が持続可能なのか、という疑問が湧きます。グレンコアの公式な年間マーケティングガイダンスは依然として25億~35億ドルであり、現状の年率換算は上限をすでに超えています。
CEOのネーグル氏は、紛争の影響は主に投入コスト(特にディーゼルや硫酸の消費増)と米ドル安として顕在化しているものの、より強いコモディティ価格によってこれらのコスト上昇は十分に相殺されるとの見方を示しています。
通期の詳細な業績は2026年8月5日に発表される予定です。投資家の関心は、グレンコアが通期のマーケティングガイダンスを上方修正するかどうか、そして地政学的リスクが和らげばこのモメンタムが続くのかどうかに集まっています。