結果、ブレント原油は週明けに一時7.4%急落し、1バレル=90ドルを割り込んだ。これは7月上旬に100ドルを超えていた水準からの急反転である 。原油価格の低下は、輸入依存度の高いアジア経済にとって直接的なプラス材料。特にインドでは、SENSEXが約700ポイント急伸し、Niftyも0.96%上昇。5営業日続いた下落トレンドにようやく終止符が打たれた 。
全面高の中にあって、半導体銘柄は依然として重い空気を引きずっている。前週末(7月24日)にはインテル(INTC)が好決算にもかかわらず7.89%急落。投資家はファウンドリ事業の顧客獲得状況や、AI関連投資の持続可能性に疑問符を突きつけた 。
同年7月の半導体売りは驚異的な規模だった。SKハイニックスはナスダック上場直後に15.4%の過去最大の下げを記録 。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)はピーク時に時価総額1兆ドル超を消失した 。投資家の間では「AIへの設備投資がバブルではないか」という疑念が急速に広がり、7月初旬からの急落はまだ終わっていない 。
月曜日には一部の半導体株が持ち直したものの、セクター全体としてはアジアテクノロジー指数の重石であり続けている 。
市場の最大の関心は、7月28〜29日に開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)に集まっている。ケビン・ウォーシュ新議長の下で2回目の会合だ 。
大方の予想は政策金利を3.50〜3.75%に据え置くというもの。これは昨年9月以来となる5会合連続の据え置きとなる 。しかしCMEフェドウォッチによると、25ベーシスポイントの利上げ確率は前週の約12%から34.7%まで上昇しており、市場はなお不透明感を抱えている 。
原油安はインフレ圧力を和らげ、FRBのタカ派姿勢を緩和する方向に働くとの見方もある。しかし、中東情勢が再び悪化すれば石油価格は再燃しかねず、FRBの「現状維持待機」姿勢は少なくとも2026年中は続くとの見方が強い 。
各市場の月曜日の騰落はまちまちだった。オーストラリアS&P/ASX200は0.9%高、韓国KOSPIは0.68%高、日本のTOPIXは0.4%高 。しかし、日経平均は0.26%下落。テクノロジー株への重いエクスポージャーが響いた格好だ 。
インド市場ではNiftyが終値23,995.95(前日比0.96%高)と急回復。SENSEXは約700ポイント上昇し、5日続落を脱した 。これは主に原油安がインドの経常収支とインフレに直接的な改善をもたらすとの期待による 。
またシンガポール金融管理局(MAS)は同日、「ごく小幅(very slightly)」な金融引き締めを発表しており、東南アジア市場にとって独自の材料となった 。
地政学リスクが後退したとはいえ、市場にはなお二つの大きな不透明要因が残っている。一つは米国による不公正貿易慣行を理由とした関税政策の再燃。いわゆる「60カ国に対する10〜12.5%の関税猶予期間」が期限切れを迎え、新たな関税発動の可能性が浮上している 。
もう一つは冒頭に挙げたAIセクターの利益持続性への疑問だ。7月の半導体売りは一時的に収まったように見えるが、フォーブスは「投資家はAIに対する前例のない設備投資の持続可能性に懐疑的になり始めている」と指摘している 。ひとたび疑念が強まれば、アジアのハイテク株全体に再び売り圧力がかかる恐れがある 。
以上を総合すれば、今週のアジア株式市場はFOMCの結果を見極めるまで方向感を欠く可能性が高い。原油急落による「目先の安心感」と、半導体・AIセクターの「構造的な疑念」が綱引きを続ける展開となりそうだ。
[出典一覧] 本記事の執筆にはReuters、Bloomberg、Saxo Bank、HLB Global Markets、Business Times、Morningstar、Forbes、CME Group、その他各国メディア・金融機関のレポートを使用しています。