ラム圧力ストリッピング(動圧 stripping) — NGC 4654がおとめ座銀河団内の高温で希薄なガス(銀河団内媒体)の中を高速で移動する際、押しのけられたガスが銀河からはぎ取られ、片側に長いガスの尾を形成します。これは、銀河団という高密度環境にある多くの銀河で見られる現象です。
重力潮汐相互作用(gravitational tidal interaction) — NGC 4654は、過去に巨大な隣接銀河NGC 4639と急接近(フライバイ)しました。この重力相互作用により、銀河の恒星とガスの分布が歪められ、非対称な物質分布が生じました。
重要なのは、どちらか一方のプロセスだけでは観測される非対称性を完全に説明できないという点です。数値シミュレーションの結果、ラム圧力ストリッピングと潮汐相互作用の両方を組み合わせたモデルだけが、実際の観測データを再現できることが示されています。
これらのデータを総合することで、研究者たちは銀河の非対称なガス分布や力学と、星形成の位置や速度を直接結びつけることができます。具体的には、ラム圧力と重力相互作用によるガス圧縮がどこで新しい星の誕生を引き起こし、ガスストリッピングがどこで星形成を抑制しているのかが明らかになりつつあります。