参加者が「ジョイスティックを左に倒そう」と「想像」すると、運動皮質に特有のスパイクパターンが発生。この信号は無線で外部デバイスに送信され、Neuralinkが開発した専用アプリがリアルタイムで解読します。アプリ内では、参加者の目の前の映像が表示され、画面上のカーソルを上下左右に動かすことで車いすが前進・後退・旋回。カーソルを遠くに押し出すほど速度が上がる仕組みで、シート調整も思考で行えます。
重要なのは、参加者が実際に筋肉を動かす必要は一切なく、あくまで「動かすことを意図する」だけでシステムが作動する点です。それぞれの参加者の神経の「語彙」に合わせてキャリブレーション(較正)が行われます。
PRIME試験(Precise Robotically IMplanted Brain-Computer InterfacE、NCT06429735)は、N1インプラントとR1手術ロボットの安全性と初期機能を評価する、初の人体を対象とした単群・多施設の実行可能性試験です。対象は脊髄損傷または筋萎縮性側索硬化症(ALS)による四肢麻痺の成人です。
主なマイルストーン:
ただし、2026年半ば時点で、Neuralinkは人体試験の査読付き論文を発表していません。公表されている性能はあくまで同社のデモに基づくものであり、独立した検証は行われていません。
N1インプラントは現時点では治験機器(investigational device) であり、一般向けに販売・使用することはできません。
つまり、N1インプラントは治験の参加基準を満たす患者にのみ埋め込まれており、合法的に販売・処方・埋め込みを行うことはできません。
Neuralinkによる電動車いす操作デモは、厳密に管理された臨床試験内での概念実証(proof-of-concept)です。PRIME試験参加者にとっては確かに機能する技術ですが、N1インプラントが一般に利用可能になるには、試験の完了、査読付きデータの公表、そしてFDAによる本審査を経る必要があり、実現は早くとも数年先とみられています。