カーネギーメロン大学、ピッツバーグ大学、ワシントン大学の研究チームが2025年7月にScience誌(DOI: 10.1126/science.adz1652)で発表した研究により、アルツハイマー病が個々の脳細胞内のDNA立体構造(3Dフォールディング)を根本から乱していることが明らかになりました。研究チームはこの現象を「区画混交の増加(increased compartment mingling)」と命名。遺伝子活性の低下と関連しており、新たな治療標的の可能性を示しています
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研究内容:3Dゲノムの折りたたみが異常に
ヒトゲノムは細胞核内でランダムに絡み合っているわけではありません。染色体は特徴的な三次元の「近隣」領域に折りたたまれており、通常、活性DNAの大きな領域と不活性DNAの領域は別々の「区画」に分けられ、正しい遺伝子が適切な細胞で働くよう制御されています。
研究チームがアルツハイマー病患者の単一脳細胞でDNAの3D折りたたみをマッピングしたところ、この組織化が崩壊していることが判明。健常な人と比べ、活性区画と不活性区画があいまいになり、互いに混ざり合っていました
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主な発見:
- 複数の脳細胞タイプで、短距離のDNA接触の減少と長距離接触の増加が観察されました。
- 混交の度合いが大きいほど遺伝子発現が低下しており、特に神経細胞やシナプス関連の遺伝子プログラムで顕著でした。
- この再編成は、遺伝子とその調節領域との接触の弱まりと関連していました
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現象:「区画混交の増加」
研究チームは観測された撹乱を指す「区画混交の増加(increased compartment mingling)」という用語を新たに提唱しました。活性領域と不活性領域のゲノム近隣が混ざり合うこのパターンは、アルツハイマー病患者の脳で複数の細胞タイプにわたって見られ、混交の程度は遺伝子発現低下の重症度と相関していました
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技術:GAGE-seq(ゲージ-シーク)
この現象を単一細胞レベルで捉えるため、研究チームはGAGE-seq(Genome Architecture and Gene Expression sequencing) という新しい技術を使用しました。このシングルセル解析法は、同一細胞内で以下の2つを同時に測定します。
- 遺伝子発現(トランスクリプトーム) — どの遺伝子がオンになっているか
- 3Dゲノム接触(クロマチン構造) — DNAが空間的にどのように折りたたまれているか