決算説明会の場で、サンダー・ピチャイCEOは「グーグルがAI競争に遅れを取っている」という見方を真っ向から否定した。同氏は、次世代旗艦モデル「Gemini 3.5 Pro」が6月の公開予定から遅れ、現在もパートナー向けテスト段階にあることを認めつつ、これは品質を優先した結果であり戦略的な失敗ではないと説明した。
ピチャイCEOはグーグルの長期的な焦点は「Gemini 4」にあると強調。「フロンティア(最先端)での競争に必要」であり、特に「コーディングとエージェンティック・コーディング」の能力向上に不可欠だとした。同氏は、Gemini 4のロードマップは「ほぼ毎月のペースでリリース」があると述べ、企業向けカスタマーサービスやサイバーセキュリティ、分析などの分野で投入した小型で低コストな「Flashモデルファミリー」にも強い自信を示した。
「我々はこれまでで最も野心的なプレトレーニングを、Gemini 4のために開始した」と語り、「我々が依然としてフロンティアにいる属性はたくさんある」と主張した。しかし、Geminiがエージェンティック・コーディングの分野で改善が必要であることも認めた。
アルファベットが7月22日に発表した決算の主な内容は以下の通り。
アルファベットによれば、二桁の売上高成長はこれで12四半期連続となる。
アルファベットは2026年通年の設備投資(キャペックス)見通しを、4月時点の1800~1900億ドルから1950~2050億ドルへと引き上げた。第2四半期の設備投資額は449億ドルに達し、四半期のフリーキャッシュフローは同社史上初のマイナス(マイナス59億ドル)に転落した。
経営陣は、投資の大部分がAI関連の技術インフラ(同社カスタムチップのTPU、GPU、データセンター)に向けられていると説明。概算で60%がサーバーに、40%がデータセンターおよびネットワーク機器に充当されたという。最高財務責任者(CFO)のアナット・アシュケナージ氏は、2027年の設備投資についても2026年比で「大幅な増加」を見込むと述べた。また、一部のアナリストは、アルファベットが2027年の設備投資として3000億ドル超をガイダンスする可能性にも言及している。
設備投資額の増加ペースは著しく、前年同期比でほぼ倍増している。
好調な売上高とクラウド事業の急成長にもかかわらず、株式市場の反応は冷ややかだった。
なお、この2日前(7月16日)にも、ブルームバーグがGemini 3.5 Proの遅延を報じたことを受け、アルファベットの株価は市場価値で約2000億ドル(約4.4%)を失っている。
今回の決算説明会では、競合他社であるOpenAIやAnthropicの名前が頻繁に挙げられたわけではないが、その存在は説明会全体の明確なサブテーマとなっていた。
総評:今回の決算は、売上高、クラウド事業、利益率のいずれの観点からも堅調な内容と言える。しかし、市場の関心はAI競争の「コスト」に急速にシフトしている。ピチャイCEOは「長期的な視点」に立ち、短期的なフリーキャッシュフローを犠牲にしてでもGemini 4とエコシステムの構築に注力する姿勢を示した。しかし、株価の反応を見る限り、投資家はそのリターンが競合にリードを奪われる前に実現するかどうかについて、確信を持てずにいるのが実情だ。