梁氏は、DeepSeekが最も先進的なモデルであってもオープンソースとし続けることを明確に約束しました。彼は「オープンソース開発と商業的な収益化は相互排他的ではない」と主張し、オープンソースであることの意義を熱く語りました。
梁氏は、オープンソースを「利益を捨てること(ceding profit)」と表現しました。これは意図的なトレードオフであり、社内では従業員の誇りと結束を生み、社外ではAIコミュニティ全体に利益をもたらすと説明します。彼はクローズドソース化を明確に否定し、「AGIを達成する確率を最大化するために、自制こそが戦略だ」と述べています。
実際、梁氏は「バイトダンス(TikTok親会社)のモデルはクローズドソースだが、それにどんなメリットがあるのか私には見えない」と他社を引き合いに出し、オープンソースの優位性を強調しました。さらに「私たちがオープンソースにするモデルは、自分たちでデプロイしているモデルと同じものだ。劣ったモデルを公開して、自分たちはより良いモデルを使うなんてことはしない」と明言し、完全な透明性を誓っています。
梁氏は、DeepSeekの**唯一の長期的ビジョンはAGI(汎用人工知能)**であると強調しました。コンシューマープラットフォームの構築、スーパーアプリの開発、短期的な収益の最大化は目的ではないと断言しています。
彼はAGI達成に向けた段階的なテクニカルロードマップを次のように提示しました。
梁氏は、3D生成、動画生成、ワールドモデルへの投資を「AGIへの道を妨げる気散じ」として明確に否定しました。
梁氏は、独占的な利益最大化を拒絶しました。彼のAPI価格設定の哲学は極めてシンプルで、「10カ月でハードウェアコストを回収できる価格」——つまり、利益最大化ではなく、合理的な利益を目指すものでした。
彼は「この価格帯ではユーザーの需要は非弾力的で、価格を2倍にしてもトークン消費量はほとんど変わらない」と認めながらも、あえて値上げをしない選択をしました。DeepSeekがかつてモデルの価格を4分の1に引き下げた際、チームはそれを祝福したといいます。手頃さ(affordability)自体が目標だったのです。
独占について、梁氏は「コンシューマートラフィックを争っているわけでも、BtoB市場のトレンドを追っているわけでもない」と述べ、特定の垂直市場での支配を目指していないことを明確にしました。彼の核心的な主張は「自制すればするほど成功する可能性が高まる」というものです。
梁氏が唯一こだわる「独占」とは、AGIの進歩にとって重要な要素である**計算資源(コンピューティングパワー)**へのアクセスです。彼はこれをDeepSeekの最大の制約と位置づけ、米国のフロンティアラボと比較して約20分の1の計算資源(約2万基のH100相当GPU)しか持たず、米国に対して12〜18カ月の遅れがあると認めています。
梁氏は「AGIがもたらす商業的価値は、人類のGDPの10%に達する可能性がある。その利益を独占しようとすれば、歴史に捨てられる」と述べ、長期的な視点からのオープンな姿勢の重要性を強調しました。
今回の資金調達は、梁氏が長年堅持してきた「無借金経営」からの戦略的転換を示すものです。梁氏は会議で「チームの安定性」が唯一絶対に譲れない核心的利益だと述べ、この資金調達によってそのリスクが実質的に解消されたと評価しました。
資金調達の仕組みは異例で、投資家はDeepSeek本体ではなく、梁氏が管理するリミテッド・パートナーシップ(有限責任組合)に出資する形がとられました。また、5年間のロックアップ期間があり、議決権もないという条件で、梁氏による完全な経営権が維持されています。
この資金を元手に、DeepSeekは従業員数を倍増し、大規模なAIコンピューティングクラスターの自社構築を計画しています。ただし、自社開発のAIチップについては「まだ決断していない」と述べています。