7月20日、NVIDIAは「Agent Toolkit」にNVIDIA Omniverseライブラリを追加したと発表しました。 これにより、AIエージェントはシミュレーション対応の3D世界を自ら構築し、既存のアプリケーションにフィジカルAI機能を統合できるようになります。 新たなライブラリは以下の機能をエージェントに提供します。
すでに3Dツール大手のSideFX(Houdiniの開発元)とPTCが、自社の3DアプリケーションにOmniverseライブラリを統合し、フィジカルAI向けの開発を進めています。 この動きは、2026年6月のGTC Taipeiでプレビューされた、Omniverse、Cosmos、Alpamayo、Metropolisを横断する大規模なオープンソースAIエージェントスキル群の拡張版という位置づけです。
NVIDIAは「AI for Media」プラットフォームの一環として、**合成動画検出NIMマイクロサービス(Synthetic Video Detector NIM)**を発表しました。 このツールは動画をフレーム単位で分析し、AI生成(合成)コンテンツである確率をスコアとして出力します。 主な特徴は以下の通りです。
この検出ツールはNVIDIA NIMマイクロサービスとして提供され、「AI for Media Private Access Program」を通じて利用できます。
NVIDIAは、ロボットやビジョンAIエージェント向けの新しいワールドモデル「Cosmos 3 Edge」を公開しました。 これは4億パラメータのモデルで、Mixture-of-Transformersアーキテクチャを採用し、言語、画像、動画、音声、行動シーケンスをネイティブに処理・生成できます。 クラウドではなく、エッジデバイス上でローカルに動作する点が最大の特徴です。
主な特長:
Cosmos 3 Edgeは、既存のCosmos 3 NanoおよびCosmos 3 Superとともに、SIGGRAPH会期中にHugging Faceで公開されました。
SIGGRAPHに先立つ7月16日、NVIDIAは日本政府およびNoetra社と提携し、世界初の国家調達型AIインフラを構築すると発表しました。 この発表はSIGGRAPHの「Physical AI Day」(7月21日)で中心的なトピックとして取り上げられました。
主な仕様:
背景と意義:日本の製造業は世界的な競争力を持つ一方、労働力不足や生産性向上が課題です。本プロジェクトは、ロボットやFA機器に「考える力」を与えるフィジカルAIを国家戦略として推進し、米国ハイパースケーラー主導のAIクラウドへの依存から脱却する狙いがあります。 経産省の赤澤亮正大臣も7月15日のキックオフイベントに出席し、国家を挙げた支援を表明しました。
4つの発表が示すNVIDIAの戦略転換
これらの発表を総合すると、NVIDIAは単なる半導体企業から、フィジカルAI時代のフルスタック・インフラ企業へと変貌を遂げつつあることがわかります。シミュレーションツール(Omniverse)、基盤モデル(Cosmos)、メディア完全性システム(合成動画検出)、そして国家AIインフラ(日本プロジェクト)——これら4つの要素は、NVIDIAが「チップを売る」ビジネスから「AI時代の基盤そのものを提供する」ビジネスへのシフトを完了したことを示しています。