トランプ大統領へのブーイングは試合開始直前から始まった。ジェニファー・ハドソンが米国国歌を歌い終えた直後、スタジアムの巨大スクリーンにスイート席で拍手を送るトランプ大統領が映し出されると、瞬く間にスタジアム中から大ブーイングが湧き起こった。アルゼンチンとスペインの両ファンが一時的に敵意を忘れ、一致団結してブーイングを浴びせた格好だ。
試合後、トランプ大統領がインファンティーノFIFA会長と共にピッチに姿を現した瞬間、再びブーイングがスタジアムを包んだ。『The Independent』は「スタジアム中から聞こえる明白な否定的な反応だった」(audibly negative with boos heard around the stadium)と報じている。ホワイトハウス記者団に共有された測定データによると、通常のスタジアム環境騒音が約78デシベルだったのに対し、ブーイング時は84デシベルに達したという。
トランプ大統領の表彰式への参加は、FIFAの慣例を大きく逸脱するものだった。FIFAのインファンティーノ会長は6月23日、トランプ大統領と共に優勝トロフィーを授与することを発表。2018年ロシア大会と2022年カタール大会ではFIFA会長が単独で優勝キャプテンにトロフィーを手渡しており、これは明らかな慣例破りだった。インファンティーノ会長はFoxニュースのインタビューで「我々は大統領と共に決勝を楽しみ、勝者にトロフィーを手渡す。もちろん一緒にだ」と語っている。
問題はそれだけではなかった。トランプ大統領はトロフィー授与後、スペインのキャプテン、ロドリにトロフィーを手渡した後も、スペイン選手団のトロフィー掲げの場に留まり続けたのだ。FIFAの慣例では、非FIFA関係者が表彰台に留まることは想定されていない。複数の海外メディアはこの行動を「トロフィー掲げをハイジャックした」などと報じた。Foxニュースは「トロフィーセレモニーに参加した後、大いにスポットライトを共有することになった」と伝えている。
一部のSNSでは、スペインの選手がトランプ大統領を押しのけて表彰台から追い出そうとしたとする映像が拡散されたが、主要メディアはこのやり取りを独自に確認していない。
今回の騒動は初めてではない。トランプ大統領は前年2025年7月、同じメットライフ・スタジアムで開催されたFIFAクラブW杯決勝でも、チェルシーの優勝後に表彰式に参加し、同様にブーイングを浴びていた。当時も熱心なサッカーファンからは不評を買い、今回もその流れが再現された形だ。
2026年のW杯決勝は、スペインの劇的な勝利とともに、米国大統領の異例かつ物議を醸した役割によって記憶されることになりそうだ。