Grok 4.5は2026年6月28日からSpaceXおよびTeslaでプライベートベータ版として提供が開始され、2026年5月26日に事前訓練が完了した1.5兆パラメーターの基盤モデル「V9」を搭載しています 。同年7月8日にはxAIのAPI経由で一般公開され、入力トークン100万件あたり2ドル、出力トークン100万件あたり6ドルで提供されました 。Grok 4.6は前世代から 33%のパラメーター増 となり、1.5兆から2兆へと規模を拡大しています 。
| 仕様 | Grok 4.5 | Grok 4.6 |
|---|---|---|
| パラメーター数 | 1.5兆 | 2兆 |
| 基盤モデル | V9(2026年5月26日訓練完了) | 次世代(アーキテクチャ詳細は非公開) |
| ステータス | 6月28日よりSpaceX・Teslaでプライベートベータ;7月8日API公開 | 訓練は今週完了予定;8月公開見込み |
| API価格 | 入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり6ドル | 未発表 |
| パフォーマンス(自称) | Claude Opusに迫る、またはそれを超えると自己報告;独立したベンチマークなし | Grok 4.5を上回り、Kimi K3を凌駕する目標 |
重要な注意点: Grok 4.5については 独立した第三者によるベンチマーク結果は一切公開されていません。すべての性能主張はxAI自身によるものです 。xAIのエンジニアの一人は、Grok 4.5ではコーディング特化の「Cursorデータ」を補足学習として使用したものの、これは「初期訓練から含めるのと同じほど良くはない」と述べています 。
マスク氏の発表のタイミングは、中国Moonshot AIが2026年7月16日にリリースした「Kimi K3」 と直接的な関係があります 。Kimi K3は 2.8兆パラメーター のオープンウェイト(オープンソース相当)Mixture-of-Experts(MoE) モデルで、100万トークンのコンテキストウィンドウ とネイティブな画像認識機能を備え、これまで公開された中で最大のオープンウェイトAIモデル、そして初の「3兆クラス」モデルとされています 。このモデルは、896のエキスパートのうち16個のみをトークンごとに活性化する設計で、計算コストを抑えています 。
マスク氏の投稿は、Grok 4.6をこのKimi K3への 明確な対抗策 として位置づけており、「Kimi K3を性能で上回る」ことを目標に掲げています 。Grok 4.6は2兆パラメーターと、Kimi K3の2.8兆よりは小さいため、xAIは アーキテクチャの効率性と推論最適化 に賭けている形です 。
ここが重要なポイントです。Grok 4.5には独立したベンチマークスコアがありません。競合に対する優位性の主張はすべて、xAIの自己申告に過ぎません。一方、Kimi K3は第三者機関による評価を受けており、総合リーダーボードで 世界第3位 にランクイン。上位はAnthropicのClaude Fable 5とOpenAIのGPT-5.6 Solです 。Kimi K3は「米国の競合製品(Claude Fable 5など)と互角の性能を発揮する」と評価され、特定のコーディングやウェブ開発のベンチマークではClaude Fable 5を上回ることも報告されています 。
価格面では、Kimi K3のAPIはClaude Fable 5やGPT-5.6 Solと比較して 約半額 とされています 。正確なトークン単価は高権威ソースからは確認できていません。
重要な結論: 現時点で、GrokシリーズとKimi K3との直接比較を行う独立したベンチマークは存在しません。xAIの性能に関する声明はすべて、マスク氏がソーシャルメディア上で行った未検証の主張です。
マスク氏の7月18日の発表は、より大きな計画の一部です。xAIが公に発表している内容は以下の通りです。
このモデル競争と並行して、xAIは 2026年7月15〜16日、コーディングエージェント「Grok Build」をApache 2.0ライセンスでオープンソース化 しました。Rustで書かれたCLIツールで、GitHub上のリポジトリ(xai-org/grok-build)で公開されています 。Grok Buildは8つの並列サブエージェント、事前計画ワークフロー、Arenaモードを特徴とします。この動きは、以前のバージョンでユーザーの作業ディレクトリ全体をxAIサーバーにアップロードするプライバシー問題が発覚したことを受けた信頼回復策でもあります 。コードを公開することで、コミュニティの信頼と採用促進を狙います。
マスク氏は別途、2026年7月8日に、ユーザーフィードバックに基づき Grok Buildの日々の改善 を行っていると述べています 。これにより、xAIはCursorやGitHub Copilotといったコーディングエージェント市場での直接競合を仕掛ける構えです。
マスク氏の7月18日のGrok 4.6発表は、わずか2日前にリリースされたMoonshot社のKimi K3に対する 明確な対抗パンチ です。xAIの月次リリースペースは他のどのフロンティア研究所よりも速く、Grok 5のロードマップはさらに巨大なモデルの登場を示唆しています。しかし、xAI製モデルに対する独立したベンチマークの欠如 は、第三者による検証が行われるまで、すべての競合優位性の主張が未確認のままであることを意味します。規模と同じくらい透明性が問われるこの競争において、そのギャップは非常に重要です。