すると7月5日(現地時間)、ラウンド16のベルギー戦を翌日に控えたタイミングで、FIFAの規律委員会がバログンの処分を「1年間の執行猶予付きの有罪判決」に変更。バログンは試合に出場できるようになりました 。
この異例の決定は瞬く間に大騒動に発展しました。欧州サッカー連盟(UEFA)は「FIFAは越えてはならない一線(レッドライン)を越えた」と激怒 。ベルギー政府関係者やファンは政治介入を一斉に非難しました 。バログン本人も「この決定が大きな物議を醸すことは分かっていた」と後に認めています 。
皮肉なことに、米国代表はこの試合を0-3で敗北。一部の観測筋は、この結果がかえってインファンティノ会長への政治的压力を和らげたと指摘しています 。
7月8日、英国の人権団体FairSquareが、インファンティノ会長に対するIOCへの正式な申し立てを行うと発表し、7月13日にこれを提出しました 。
申し立ての核心は、インファンティノ会長(2020年からIOC委員 )が、一連の発言や行動でIOCの政治的中立ルールに繰り返し違反したというものです 。今回のバログン処分撤回への関与に加え、過去にトランプ氏が立ち上げた「Board of Peace」への参加も問題視されています 。
IOC憲章は「オリンピック・ムーブメントに属するすべての組織は、常に中立を守らなければならない」と規定。2026年6月には、このルールを補強する新たな文言が追加されました 。FairSquareは、以前にFIFA内部の倫理委員会に同様の申し立てを行ったものの、調査が行われなかったと指摘しています 。
IOCの対応は「単なる拒否」ではなく、複雑なものとなっています。2026年2月には、IOCのキルスティ・コベントリー会長が、インファンティノ会長による「Board of Peace」参加が憲章違反かどうかを「調査する」と表明 。この調査はバログン騒動が起きる前から進行中でした。
しかしFairSquareは、今回のバログン関連の新たな申し立てについて、IOC倫理委員会が正式な調査を開始したという確認をまだ得ていないとしています 。申し立てが明確に却下された証拠はないものの、迅速な動きがないのは、インファンティノ会長が現職のIOC委員であり、FIFAが世界最大のスポーツ団体であること、そしてIOCが歴史的に自組織の委員に対する政治的中立ルールの適用に消極的であることなどが背景にあるとみられます。申し立てが公表された同日には、欧州の70人以上の議員もFIFAとインファンティノ会長の政治的中立性に関する調査を要求しています 。
バログン事件は、インファンティノ会長の立場を複数の面で脅かしています。