その背景には、単なるライバル意識を超えた、深く根ざした複数の不満が存在する。以下、具体的な5つの要因を検証する。
今大会、アルゼンチンは度重なる「有利な判定」で批判を浴びている。
複数の差別事件がアルゼンチンのイメージを大きく傷つけている。
これらの事件は、ラテンアメリカのファンが伝統的な「地域の連帯」を放棄する決定的な要因の一つとなった。
準決勝でイングランドを2-1で破った後、アルゼンチン選手たちは「ラス・マルビナスはアルゼンチンのもの」(Las Malvinas Son Argentinas)と書かれた横断幕を掲げてピッチ上で披露した。
1982年のフォークランド戦争(マルビナス戦争)で英国が実効支配する島々の領有権を主張するこの行為は、「スポーツと政治の混同」として国際的に強い批判を浴びた。特に英国および国際的な視聴者からは「試合の興奮を台無しにした」と非難が殺到し、反アルゼンチン感情をさらに強める結果となった。
2023年に当選したハビエル・ミレイ大統領は、自称「アナルコ=キャピタリスト(無政府資本主義者)」で、ドナルド・トランプ前米大統領と極めて緊密な関係にある。
左派政権の多いラテンアメリカ諸国にとって、ミレイの急進的なリバタリアン政策とトランプ接近は大きな懸念材料であり、これがサッカーへの応援姿勢にも影響を与えている。
何より根深いのは、地域内での長年の確執である。
結論: 反アルゼンチン感情は、単一の理由に還元できない複合的な現象である。審判への陰謀論、人種差別事件の累積、フォークランド問題の政治化、ミレイ大統領の分断を招く政治姿勢、そして数十年にわたる地域内ライバル心。これらがSNSで増幅され、ラテンアメリカ中のファンが「スペインを応援する」という逆転現象を生んでいる。