2026年通期見通し:ASMLは通期売上高見通しを従来の360〜400億ユーロから**430〜450億ユーロ(約490〜510億ドル)**に引き上げました。これは中間値で約16%の増額となります。また、第3四半期の売上高は110〜120億ユーロを見込んでいます
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決算発表後のアナリスト向け電話会議で、ロジャー・ダッセンCFO(最高財務責任者)は、2027年および2028年の生産能力拡大計画が、イーロン・マスクのテラファブ計画からの需要を「明確に考慮に入れている」と認めました。
マスク氏は2026年6月にASMLの社内イベントでテラファブについて講演しており、SpaceXとテスラの合弁事業として、テキサス州に少なくとも550億ドル(約8.5兆円)を投じ、フル稼働時には総投資額が最大1190億ドル(約18.5兆円)に達する可能性がある巨大半導体工場の建設計画を進めています。ASMLのクリストフ・フーケCEOはマスク氏を「非常に真剣だ」と評する一方、この規模の新プロジェクトは装置供給を圧迫する可能性があると警告しています
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1. EUV独占によるボトルネックが深刻化:ASMLは、5nm以降の最先端AIチップ製造に不可欠なEUVリソグラフィー装置の世界唯一の供給元です。2027年のEUV生産能力がほぼ完売し、テラファブが新たな割り当てを吸収することで、TSMC、サムスン、インテルなど他の半導体メーカーは、次世代工場向け装置の入手が一段と困難になり、リードタイムが長期化する恐れがあります。
2. AI需要が主な原動力:フーケCEOは、特にAIチップ製造ツールに対する顧客需要が「非常に強い」と述べています。テラファブ計画だけでもASMLの拡大後の生産量のかなりの部分を消費することになり、既存の受注残にさらなる圧力をかけます
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3. サプライチェーン全体への波及効果:ASMLは以前から、テラファブ級のメガプロジェクトは「世界の半導体製造に波及効果」をもたらし、最先端リソグラフィー装置の供給を逼迫させる可能性があると警告しています。ASMLの自社生産だけでなく、EUV装置の製造・運用に必要な光学系、ミラー、真空機器、材料など、エコシステム全体に影響が及びます。
4. 地政学的リスクと割り当てリスク:EUVの供給がASMLの生産上限によって事実上配給制となる中、ファウンドリーや垂直統合型半導体メーカー(IDM)は数年先の注文を余儀なくされています。テラファブがASMLの生産計画に正式に組み込まれたということは、マスク氏の事業が優先的な地位を確保したことを意味し、他の顧客の納入スケジュールに影響を及ぼす可能性があります。また、ASMLは最先端EUVシステムの中国への輸出が制限されており、需要は西側諸国とその同盟国の限られた企業群に集中しています。
総評:ASMLの2026年第2四半期決算は、AI主導の半導体ブームが本格化していることを裏付けました。売上高と利益率はともに予想を上回り、通期見通しは430〜450億ユーロへと大幅に上方修正されました。そして、テラファブ需要を2027〜2028年の生産計画に正式に反映したことは、構造的な変化を示しています。ASMLのEUV独占は、事実上の希少資源を世界最大のチッププロジェクトに直接割り当てる力学を生み出し、供給者主導のボトルネックが、将来のAIチップ供給のペースと地理的分布を左右することになるでしょう。