2. それでも需要には届かず
この急拡大にもかかわらず、TSMCのC.C.ウェイCEOは2026年6月、CoWoSの能力は「極めてタイト」で、2025年だけでなく2026年一杯まで完売状態にあると認めている。International Business Strategiesのアナリスト、ハンデル・ジョーンズ氏は、CoWoSの生産は需要に対し約30%不足しており、TSMCが世界の先端パッケージングの約95%を占めると推定する
。TSMC上級副社長のケビン・チャン氏はニューヨーク・タイムズに対し、「私に見えるのは、需要がますます高まっていく姿だけだ。これは確実に多くの制約を生み出すだろう」と語っている
。NVIDIAだけでも2026年に80万~85万枚のCoWoSウェハーを確保したとされ、これは世界需要の約60%に相当。競合他社やスタートアップに残るのは15%未満となる
。
3. 複数拠点への投資
嘉義に加え、TSMCは竹南(AP6B)、台中、台南でも先端パッケージングの拡張を進めている。先端パッケージングへの設備投資は2025年から2027年にかけて年平均成長率(CAGR)24%で成長する見込みだ
。TSMC全体の設備投資ラッシュは2028年まで続き、チップ供給のボトルネック解消を目指す
。
4. 次世代パッケージングの開発
TSMCはパネルレベルパッケージング「CoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)」のパイロットラインを進めており、2026年6月までに完成、2028~2029年に量産開始を目指す。このCoPoSパイロットラインは嘉義に設置される見込みだ
。また、嘉義ではWMCM(Wafer-Level Multi-Chip Module)やSoIC(System-on-Integrated-Chips)技術の導入も計画されている
。
5. 業界全体の認識
このボトルネックの深刻さはTSMC自身の警告にとどまらない。Broadcomは2026年3月、TSMCの先端ノード能力は主要顧客の消費計画に対して約3分の1しか足りないと公に指摘した。ジョージタウン大学安全保障・新興技術センターのアナリストは、「先端パッケージングは、積極的な設備投資が行われなければ、すぐにボトルネックになり得る」とコメントしている
。
かつて田んぼだった嘉義サイエンスパークは、TSMCの次世代先端パッケージングの中核拠点へと変貌を遂げている。主要な詳細は以下の通り。
正直な答えは「すぐには」だ。フェーズIは生産に近づいているが、フェーズIIの施設が本格稼働するのは2031年頃になる。TSMCのC.C.ウェイCEOは2026年の需要の伸びを「狂っている(insane)」と表現し
、株主に対し「今後数年間、米国で製造能力が立ち上がっても需要を満たすことはできない」と述べている
。先端ノードの能力は少なくとも2027年まで完売状態で、需要は供給能力を約25~30%上回っているとされる
。AI向け半導体やそれを搭載するデバイスを購入するすべての人にとっての結論は明快だ。供給は2027年まで不足が続き、最先端チップのコストは上昇の一途をたどる
。