修正ガイダンス:OMVは、2026年の総炭化水素生産量見通しを、従来の「300kboe/dをやや下回る」から280~290kboe/dに下方修正しました(2025年実績は305kboe/d)。この見通しは、中東紛争に伴うホルムズ海峡の航行制限のタイミングと範囲に左右されます。生産量はすでにQ1に前年同期比7%減の288kboe/dに落ち込んでおり、紛争の直接的な影響を受けています。
業績見通し:OMVは、中東紛争による販売量減少の悪影響を、エネルギー価格の上昇が相殺すると予想しています。Q2のコンセンサスEBITおよび純利益はそれぞれ15億500万ユーロ、7億800万ユーロ。アナリストはトレーディングアップデートに基づき、コンセンサスを約5~6%上方修正する可能性があるとみています。同社はほぼすべての事業セグメントで改善を見込んでいます。
シェルは、Q2の統合ガス生産量を610~650kboe/dと予測しました。これはQ1の909kboe/dから大幅な減少で、中東紛争がカタールでの生産量に与えた影響を反映しています。ただし、これは従来のガイダンスレンジ(580~640kboe/d)からは上方修正されています。LNG液化生産量は740万~780万トンを見込みます(Q1は790万トン)。こちらも従来の680万~740万トンから上方修正されました。
シェルは7月7日にQ2の統合ガス生産量とLNG液化生産量の見通しを上方修正し、ロンドン市場で株価は2%以上上昇しました。上流部門の生産量は1,750~1,850kboe/dと予想され、製油マージンは1バレル当たり20ドルと、Q1から大幅に改善する見通しです。
シェルは、統合ガス部門のトレーディング実績がQ1比で**「大幅に改善」**する見込みであると述べており、これがカタールでの生産減少を一部相殺するとみられます。マーケティング部門の調整後利益はQ1並みと予想されています。Q2の運転資本については、10億~60億ドルの流入(Q1は112億ドルの流出)を見込みます。Q2の本決算は2026年7月30日に発表予定です。
イラン紛争の不均等な影響:湾岸諸国のエネルギー企業は、紛争による価格上昇が供給混乱を一部相殺するという構図に直面していますが、その影響は業種や国によって大きく異なります。エネルギー生産者は、ホルムズ海峡の閉鎖による価格変動から恩恵を受けましたが、非エネルギーセクターは深刻な混乱に見舞われました。
石油・ガスセクターの高収益は継続:一部の生産・輸出能力が制約されているものの、高騰する原油・ガス価格が湾岸諸国の国営石油会社のトップライン収益を押し上げると予想されます。アナリストは、紛争により2026年の石油価格には1バレル当たり5~20ドルの地政学的プレミアムが織り込まれていると試算しています。HSBCは、Q2のブレント原油平均価格を1バレル当たり114ドルと見積もっています。
湾岸株式市場はまちまち:2026年7月初旬、主要な湾岸諸国の株式市場は、企業決算、軟調な原油価格、そして再燃する米イラン緊張の兆候を前に、まちまちの展開となりました。サウジアラビアは、需要減退に対する警戒感を示す形で、8月のアジア向け主力原油「アラブライト」の公式販売価格を1バレル当たり11ドル引き下げました。湾岸株は5月下旬、イランとの停戦合意への期待と堅調な原油価格を背景に上昇しましたが、停戦交渉の進展と後退を繰り返す中で、依然として不安定な推移が続いています。
重要な構造的混乱:ドローン攻撃によりサウジアラビアのラース・タヌーラ製油所が被害を受け、紛争中には攻撃によりカタールのLNG生産が一時停止を余儀なくされました。湾岸地域のエネルギーインフラへの物理的な損傷は、シェルとOMVが地域から調達可能な量を直接減少させ、カタールエナジーやサウジアラムコが決算を発表する際のQ2収益を圧迫する要因となります。
総括:2026年第2四半期は、2つの相反する力が交錯した時期でした。一方で、商品価格の高騰(OMVの天然ガス価格は前期比21.5%上昇、ブレント原油は四半期初めに1バレル120ドル近くまで高騰した後に反落)があり、他方で中東紛争による深刻な物理的供給混乱がありました。シェルは生産ガイダンスを上方修正し、ガストレーディングの好調な利益を見込むことでこの緊張を乗り切りました。OMVは価格上昇に依存して数量減少を補いました。湾岸市場は、力強いエネルギーセクターの収益追い風と、高まる地政学的な不確実性の狭間で揺れ動いています。