2026年7月1日、ブルームバーグは、メタ・プラットフォームズがクラウドインフラ事業「Meta Compute」を構築し、余剰となったAIコンピューティング能力とホスト型AIモデルを外部顧客に販売する計画を報じた。CNBCもこの報道を確認し、メタがAIモデルへのアクセスを提供するか、あるいは生のコンピューティングパワーを販売するかを検討していると伝えた
。このニュースは、ハイテク大手各社が巨額のAI投資からのリターンを模索する中で浮上した
。アナリストからは、メタの動きがCoreWeaveのような純粋なAIインフラプロバイダーに価格圧力をかける可能性があるとの指摘や、AIコンピューティング需要がこれまで考えられていたほど無制限ではないのではないか、という疑問が投げかけられた
。
米労働省が発表した6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数がわずか5万7000人の増加にとどまり、市場コンセンサス(11万人から11万5000人)の約半分だった。また、4月と5月の雇用者数は合計で7万4000人下方修正された。この弱い統計は、株式市場に劇的なセクターローテーションを引き起こした。ダウ工業株30種平均は終値で5万2900と記録を更新した一方、ナスダック総合指数は0.8%下落し、半導体株の下落が続いた
。パラドキシカルなことに、弱い雇用統計はFRB(連邦準備制度理事会)の利上げ観測を後退させ、投資家は株価が高騰していたテクノロジー株から金利変動に敏感なセクター(金融、エネルギーなど)へと資金をシフトさせた
。
半導体セクターの売りは数日にわたって連鎖的に拡大した。6月5日には、強い5月の雇用統計を受けて、半導体セクターは2020年3月以来の最大の一日下落率を記録していた。7月1日には、SOXX上場投資信託(半導体ETF)が6.5%下落し、2026年で3番目に悪いパフォーマンスとなった
。アナリストはこの売りを「AI関連株からの暴力的な資金流出(violent rotation)」と表現した
。フィラデルフィア半導体株指数は7月に入ってから2営業日で11%以上下落した
。米国株ファンドからは、7月1日までの週に172億ドルの資金流出が発生し、これは2週連続の純流出となった
。
複数のレポートが、今回の売りを歴史的な高値に達していたセクターの急反転と位置づけた。フィラデルフィア半導体株指数は2026年の第2四半期(4-6月)にほぼ倍増していた。アナリストは、テクノロジー株が「劇的に変動しており」、その背景には利益確定売りと、AIへの巨額投資とそのリターンがいつ実現するかという懸念があると指摘した
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この売り浴びせにもかかわらず、7月16日の決算発表を前に、TSMCに対するアナリストの評価はほぼ全会一致で「買い」のままである。株価はこの期間、直近の高値から432〜444ドル程度で推移したが、この売りは「個別企業のファンダメンタルズの悪化というよりも、広範なリスク回避のポジション調整に起因する」と説明された。TSMCの事業見通しが悪化したという情報源はなく、今回の下落はマクロ要因によるローテーションと利益確定売りが主因であり、TSMCの業績見通し自体に変化があったわけではない。
TSMCの株価下落は、機関投資家の売り、マクロ経済の逆風、そして単一企業の発表(Meta)が、AIインフラの供給過剰に対する既存の懸念を顕在化させた結果であると理解するのが妥当だ。TSMCに対する強気の投資論(圧倒的な市場ポジション、力強い収益成長、AIによる需要増)は依然として揺らいでいない。しかし、短期的な株価変動は、パーフェクトな状態を織り込んでいた市場が現在調整(リカリブレーション)を行っていることを反映している。
投資家は7月16日の決算発表で示されるTSMCの将来の業績見通し(フォワードガイダンス)、設備稼働率、AI需要に関するコメントを注視すべきだ。今回の半導体セクター全体の売りは、長期投資家にとっては好機の入口を生み出す可能性があるが、ヘッジファンドのポジション整理やマクロ経済指標の変化が続く可能性が高く、短期的なボラティリティは続くと見られる。