2. OPEC+の増産が供給過剰を悪化
OPEC+の中核7カ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、2026年7月と8月にそれぞれ1日あたり18万8000バレルの増産を継続して承認しました。4月からの累積増産量は約80万バレル/日に達しており、ホルムズ海峡再開による供給増に追い打ちをかける形となりました。
3. ウラル原油のディスカウント拡大
ブレント原油が6月下旬に1バレル70~72ドルまで下落するなか、ウラル原油の値引き幅(対ブレント)は約22ドルに拡大しました。このディスカウントがウラル原油の実質的な価格を59ドルの予算ライン以下、そして7月初頭の約42ドルへと押し下げる決定的な要因となりました。
4. アジア需要の減速(補完的要因)
ホルムズ海峡からの供給波は、市場がすでに供給過剰に転じると予想されるタイミングと重なりました。また、アジアの精製マージンが縮小するなかで、中国やインドの輸入減少が価格下押し圧力の一部として作用したとみられます。
予算前提を大幅に下回る
ロシアの2026年度連邦予算は、ウラル原油の平均価格を1バレル59ドルと想定して編成されました。ホルムズ海峡閉鎖中の4月にはウラル原油が116ドルの13年ぶり高値をつけ、一時的に税収が予算目標を上回るという「追い風」が吹きましたが、海峡再開により状況は一変しました。
約290億ドルの歳入不足リスク
ロシアの会計検査院(Accounts Chamber)は、エネルギー収入の急減により、2026年度予算の歳入が当初見込みと比べて約290億ドル(約2.1兆ルーブル)不足する可能性があると警告しています。
財政運営の難航
ロシアが戦時下の歳出を維持するには、1バレル59ドルをはるかに上回る水準の原油価格が必要です。仮に90ドルであっても予算は均衡しなかったとされており、約42ドルという現状は持続不可能な水準です。石油・ガス収入は連邦歳入の最大の柱であり、価格崩壊はルーブル安や準備基金の枯渇を招くリスクがあります。
注意点:米・イラン停戦は脆弱であり、一部のアナリストはホルムズ海峡が再び閉鎖されれば、価格が急騰する可能性があると指摘しています。その場合、現在の42ドルという水準は一時的なものに過ぎない可能性もあります。