この巨額ボーナスを可能にしたのは、サムスンの並外れた業績だ。2026年第1四半期、同社は連結売上高133.9兆ウォン、営業利益57.2兆ウォンを計上。前年同期比で750%以上の増加となり、四半期ベースで過去最高を記録した 。半導体(DS)部門は、AI需要によるHBM、DDR5、エンタープライズSSDの販売好調を背景に、前期比86%の増収を達成した
。
第2四半期(4〜6月)については、営業利益が前年同期比で約18倍の約86兆ウォン(約5兆6350億円)に急増したとみられ、7月7日に発表予定の四半期決算速報でも示されると期待されている 。2026年6月までにサムスンの時価総額は1.56兆ドルを超え、メタ・プラットフォームズを抜いて初めて世界トップ10に入った
。同社はHBM4を含む高付加価値メモリー製品に注力し、すでにHBM4の初期量産を開始している
。
今回のボーナス制度は、政府の仲介によって成立したサムスン経営陣と労働組合との間の賃金協約によって実現した。この協約は2026年5月27日に批准され、組合員の73.7%が賛成した 。これにより、6カ月に及ぶ厳しい交渉に終止符が打たれ、18日間の全面ストライキが目前で回避された
。主な合意内容は以下の通り。
この協約は、韓国の雇用労働省が仲介した。サムスンにとっては、歴史的に「反組合」とされてきた企業文化における画期的な転換点とされ、韓国の大企業が特定の割合の営業利益を従業員と正式に分配することを約束したのは、今回が2例目である 。
半導体部門の社員が祝杯をあげる一方で、他部門とのボーナス格差は極めて大きく、深刻な対立を引き起こしている。
反発は即座に起こった。DX部門の社員は協約批准を阻止するため仮処分を申請したが、韓国の裁判所は5月26日にこれを却下した 。7月初旬には、DX部門の社員とみられる人物が格差を批判する抗議動画を社内に流布。組合はその後、抗議する組合員の脱退により過半数を失ったとの報道もある
。
アジアの半導体セクター全体としては、AI主導のメモリーブームが起きているが、その恩恵はメモリーメーカー(サムスン、SKハイニックス)に集中し、ファウンドリーやコンシューマー向けロジックなど他のセグメントは取り残されるという集中リスクが顕在化している 。
地政学的リスクも依然として存在するが、今回収集した証拠からは米中輸出規制に関する新たな具体的な動きは確認されなかった。
Nvidiaの次世代AIサーバーの投入遅延について:入手した証拠からは、サムスンのボーナスや業績報告においてNvidiaのサーバー投入遅延に直接言及したものは確認できなかった。