2026年7月、阿里巴巴ダモアカデミーが自律型AIエージェント「Elements Claw」を発表。28GPU時間で240万の結晶構造をスクリーニングし、6万8000の超伝導候補を予測。うち4種(Hf₂₁Re₂₅、Zr₄VRe₇、HfZrRe₄、Zr₃ScRe₈)を実験的に確認した[2][5]。 その数日前、フィンランド・アールト大学主導の国際コンソーシアム「SuperC」が機械学習を用いて、カゴメ格子構造を持つ2つの新超伝導体YRu₃B₂とLuRu₃B₂を特定。理論と実験を組み合わせた再現可能な発見パイプラインを実証した[5][8][23]。

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従来、新しい超伝導体を発見するには、長期間にわたる合成と測定、そして少なからぬ幸運が必要だった。世界の超伝導データベースSuperConに登録されている物質は、数十年の努力を経ても約2000種にとどまる。
しかし、2026年6月下旬から7月上旬にかけて、その状況は一変した。阿里巴巴(アリババ)のダモアカデミーと、国際コンソーシアムSuperCという2つの独立した研究グループが、AI主導の手法を用いて、それぞれ新たな超伝導体の発見を発表したのである。その速度、規模、そして自律性は、材料科学が重要な転換点を超えたことを示唆している。
2026年7月3日、阿里巴巴ダモアカデミーは、中国人民大学、中国科学院大学との協力の下、超伝導体発見に特化したAIエージェント「Elements Claw」を発表した。これは単なる予測ツールではなく、科学文献を読み、合成の実現可能性を評価し、実験プロトコルを設計する——人間の材料科学者のワークフローを模倣する自律型システムである
。
アーキテクチャと性能。 Elements Clawは「専用原子ファウンデーションモデル+汎用インテリジェントフレームワーク」というハイブリッド構造を採用。10億パラメータの原子モデルは、1億2500万の分子と結晶構造からなるデータベースで事前学習されている。このモデルは超伝導性の予測においてAUC(曲線下面積)0.996という驚異的な精度を達成し、臨界温度(Tc)の推定誤差は平均1K未満である
。
従来のタイムラインを塗り替える処理能力。 Elements Clawはわずか28GPU時間で240万の結晶構造をスクリーニングし、6万8000の高信頼性超伝導候補を特定した。研究チームはその中から4つの候補を選び、合成と実験的検証を実施。そのすべてが本物の超伝導体であることが確認された。
確認された最高臨界温度は6.5Kに達した。研究成果はarXivで公開され、すべての予測データは世界の研究コミュニティに向けてオープンソース化されている
。
ダモアカデミーの科学インテリジェンス責任者、栄钰氏は、「AIエージェントが新しい材料を発見できる」ことを示したと述べ、この能力がより高温の領域に拡張されれば、エネルギー、コンピューティング、量子技術を変革する可能性があると強調している。
その数日前の2026年6月29日、アールト大学のPäivi Törmä教授が率いる国際共同研究チーム「SuperCコンソーシアム」が、AIを活用した超伝導体発見の成果を発表した。
彼らのアプローチは、機械学習による高速ハイスループットスクリーニングと、第一原理計算(密度汎関数理論、DFT)を組み合わせ、特に有望な構造ファミリーである「カゴメ格子」を標的としたものである。カゴメ格子は、その幾何学的構造が高状態密度のほぼ平坦な電子バンドを生み出すため、長年にわたり超伝導の温床と考えられてきた
。
機械学習パイプラインは、1:3:2組成のカゴメ材料の広大な組合せ空間をスクリーニングし、最も有望な候補にフラグを立て、DFTで精緻化し、実験家に2つの未知の化合物——YRu₃B₂とLuRu₃B₂——を提示した。
これらは合成され、磁化、比熱、電気輸送測定によりバルク超伝導を示すことが確認された。報告された臨界温度は測定とサンプルに応じて0.63~0.95Kであり、両物質とも弱結合の低温超伝導体である
。
この研究はRose Albu Mustafらにより執筆され、Physical Review Research 8, 023308 (2026)に掲載された。Törmä教授は、機械学習パイプラインが「事実上無限」の材料組合せをフィルタリングでき、従来超伝導体の発見を制限してきた計算上のボトルネックを回避できると指摘している
。
これら2つのブレークスルーは、材料科学における明確な転換点を示している。その変化は、「労働集約的な経験的セレンディピティ」から「計算に導かれた合理的設計」への移行である。比較は明白だ。
2つの取り組みはアプローチにおいて補完的である。Elements Clawは、「エンドツーエンドの自律型AIエージェント」が仮説生成から実験プロトコル設計に至るまでの完全な発見ループを計画・実行できることを示した。一方、SuperCコンソーシアムは、「機械学習による高速スクリーニング」を量子物理学に基づく計算と組み合わせることで、カゴメのような標的格子幾何学のために広大な化学空間をナビゲートできることを実証した
。
明確にすべき重要な注意点がある。今回見つかったTc値(0.6〜6.5K)はすべて低温超伝導体であり、液体ヘリウムによる極低温冷却を必要とする。これらは室温超伝導のブレークスルーではない。これらの発見の重要性は転移温度そのものではなく、発見手法の速度と自律性にある。
重要なのは、パイプラインが機能するということだ。AIは現在、従来の時間のほんの一部で研究者を実行可能な超伝導体へと導き、その予測は実験的に検証可能である。この手法がより高温の領域にスケールすれば——そしてそれが不可能である根本的理由はない——エネルギー伝送、磁気浮上、量子コンピューティング、医療画像診断への影響は変革的なものとなるだろう。
中国人民大学の黄文炳准教授が指摘するように、同じAIエージェントフレームワークは、固体電池電解質や多相触媒など、他の材料発見の課題にも適用可能である。
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2026年7月、阿里巴巴ダモアカデミーが自律型AIエージェント「Elements Claw」を発表。28GPU時間で240万の結晶構造をスクリーニングし、6万8000の超伝導候補を予測。うち4種(Hf₂₁Re₂₅、Zr₄VRe₇、HfZrRe₄、Zr₃ScRe₈)を実験的に確認した[2][5]。
2026年7月、阿里巴巴ダモアカデミーが自律型AIエージェント「Elements Claw」を発表。28GPU時間で240万の結晶構造をスクリーニングし、6万8000の超伝導候補を予測。うち4種(Hf₂₁Re₂₅、Zr₄VRe₇、HfZrRe₄、Zr₃ScRe₈)を実験的に確認した[2][5]。 その数日前、フィンランド・アールト大学主導の国際コンソーシアム「SuperC」が機械学習を用いて、カゴメ格子構造を持つ2つの新超伝導体YRu₃B₂とLuRu₃B₂を特定。理論と実験を組み合わせた再現可能な発見パイプラインを実証した[5][8][23]。
いずれの転移温度も0.6~6.5Kと低温だが、その本質的意義は発見手法の「速度」と「自律性」にある。AIエージェントが仮説生成から実験プロトコル設計までを自律的に行う時代が到来したことを示している[3][4][5]。