動画は「誰でも見られる」状態だった: 原告自身が自らの意思で動画をYouTubeにアップロードし、誰でもパスワード不要・無料で視聴できる状態にしていた。動画は「公衆の面前にあった」というのがAppleの立場です 。
「アクセス制御」と「ダウンロード制限」は別物: DMCAの第1201条(a)項が保護するのは、著作物への**「アクセス(観覧)」を制限する技術的保護手段**です。Appleは、YouTubeが課している技術的制限(スクレイピング防止やダウンロード防止)は、「公衆が動画を視聴すること」を妨げるものではなく、「動画ファイルをコピー・ダウンロードする行為」を制限するものだと主張。同条項の射程外であると強調しています 。
「鍵のかかった扉」は存在しなかった: 裁判所提出文書でAppleは、「パスワードなし、料金なし、鍵なし、扉なし」と表現。動画が一般公開されている以上、原告が主張するような「アクセス制御」を「回避」するというシナリオ自体が成り立たないと反論しています 。
この訴訟の行方は、AI業界とコンテンツクリエイターの関係を根本から変える可能性を秘めています。
もし裁判所がAppleやSnapの主張(公開動画のスクレイピングにDMCAのアクセス制御規定は適用されない)を受け入れれば、AI企業によるインターネット上の公開データ収集は大幅に容易になり、クリエイター側の保護は難しくなります 。
この判断は、単なるAppleと数組のYouTuberの争いを超え、生成AI時代の「データ収集のルール」を定義する重要な先例となり得ることから、業界関係者から大きな注目を集めています。
2026年7月現在、裁判所はAppleの却下申し立てに対する審理を開始したばかりです。注目すべきは、類似の訴訟(Udio事件)では、2026年4月にニューヨーク南部地区連邦地裁が、DMCAのアクセス制御規定に基づく主張を認め、被告側の却下申し立てを退ける判断を下している点です 。この判断が加州の裁判所にどの程度影響を与えるかも、重要なポイントとなります。
本件の次なる節目は、裁判所がAppleの却下申し立てを認めるか、あるいは棄却して証拠開示(Discovery)手続きに進むかの判断を下すときです。
(本記事は2026年7月初旬時点の複数の報道および公的資料に基づきます。)