実際に、サウジ最大の原油積出港ラスタヌラからは、少なくとも5隻の大型タンカー(総量1000万バレル)がホルムズ海峡を通過して出航。さらに、ペルシャ湾内で足止めされていた総量6200万バレル以上の原油も、続々と解放され始めています
。封鎖によって日量約1500万バレルもの原油輸送が滞っていた状況が、急速に解消されつつあるのです
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7月2日、ロイター通信はサウジアラムコがアジア顧客向けの販売方式を従来の契約(ターム)価格からスポット価格に切り替えたと報じました。これまでアラムコは毎月、公式販売価格(OSP)をアジアの製油所に提示していましたが、積み残し在庫の迅速な処理を優先した形です
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この動きは、二重の戦略と分析されています。一つは、滞留する大量の在庫を短期間で消化すること。もう一つは、イラン産原油の本格的な輸出再開に先駆け、アジア市場でのシェアを競合他社から防衛することです。封鎖中、アジアの製油所は代替産地からの原油調達を確保しており、競争力のある価格設定なしにはサウジ原油の需要が限られるリスクがあるためです
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和平合意が発効した6月18日、ブレント原油は1.4%下落し78.41ドルとなりました。その後も下落基調は続き、月末にはバンク・オブ・アメリカ証券が2026年下半期のブレント平均を72ドル、和平が維持されれば2027年には65ドルと予測
。7月1日にはブラジル国営石油会社ペトロブラスのCEOが、原油価格は「72〜75ドルのレンジに落ち着きつつある」と述べました
。7月2日にはブレントは70.41ドルまで値を下げています
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この値下がりは、滞留していたペルシャ湾の6000万バレル超の原油が市場に還流し、短期的な供給過剰を生むという市場の見方を反映しています。国際エネルギー機関(IEA)も、2027年までに石油市場が大幅な供給過剰に転じる可能性を指摘しています
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今回の合意はあくまで60日間の暫定枠組みです。イランの核開発問題や、イスラエルのレバノン攻撃の継続など、合意を頓挫させかねない未解決の課題が山積しています。米EIAは6月30日時点の短期見通しで、ホルムズ海峡は「短期的には事実上閉鎖されたまま」と仮定。本格的な輸送量の回復には数ヶ月を要し、戦前水準への復帰は2027年初頭までずれ込むと予測しています
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ロイターやアトランティック・カウンシルも、イラン国内の強硬派やイスラエルの軍事行動が停戦を頓挫させ、再び封鎖状態に逆戻りするリスクを警告しています。AP通信も、合意には「重大な課題」があると報じています
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ホルムズ海峡を通過するサウジ原油の急増、アラムコの価格戦略転換、そして原油価格の下落は、市場が正常化を織り込みつつも、新たな混乱リスクに備えてヘッジを継続している姿を如実に示しています。合意から2週間での驚異的な回復力の一方で、60日間という時限装置、未解決の核交渉、そしてイスラエルの軍事作戦が、事態をいつでも反転させうるのです。市場関係者にとっての重要なシグナルは、単に流れている原油の量だけでなく、海峡が再び閉鎖されるリスクに対して、市場が依然として一定のディスカウントを適用し続けているという点にあるでしょう。