ゼレンスキー大統領は数週間前からロシアによる大規模攻勢の脅威を繰り返し訴えてきた。6月20日には「情報機関はロシア軍がウクライナへの大規模攻撃を準備していると示している」と声明。7月1日、攻撃当日にも「プーチンはかなり前からウクライナに対する大規模な打撃を準備している」と警告していた。その言葉は現実のものとなった。後にゼレンスキー氏は、夜間に少なくとも20か所が標的となり、そのほとんどが一般住宅だったと報告。ウクライナ全土で少なくとも13人が死亡したと発表した。
ロシア軍がキーウを攻撃しているその同じ頃、ウクライナはクリミア上空で全く異なる戦いを繰り広げていた。2026年4月初旬、ウクライナ無人機システム軍は「中距離攻撃キャンペーン」を開始。目標は、国産の中距離無人機(Bober型、Liutyi型、航続距離50~300km)を用いて燃料トラック、補給車列、橋、飛行場を組織的に攻撃し、クリミアおよびウクライナ南部のロシア占領地域における「兵站(ロジスティクス)の崩壊」を達成することにある。
国防相のミハイロ・フェドロフはこれを「戦争の新たな技術段階」と表現し、「兵站封鎖」作戦と呼んでいる。
フェドロフ国防相は、このキャンペーンにより「クリミアはまもなく孤島と化す」と予測している。
キーウ攻撃と同時刻、ウクライナ保安庁(SBU)は、占有下クリミアのサキ飛行場にある格納庫に対し無人機攻撃を実施したと発表。格納庫内にはロシアのSu-30戦闘機が収容されていた。ウクライナ当局によると、SBUの無人機5機が格納庫を直撃。予備報告では、衝撃時に2機の格納庫にSu-30とSu-30SMがそれぞれ格納されていたとみられる。これはゼレンスキー大統領が承認した、ロシアの航空戦力を圧迫するための40日間作戦の一環である。2025年8月にも同飛行場で同様の攻撃があり、1機が破壊され4機が損傷しており、ウクライナはロシア航空戦力に対し持続的な圧力をかけ続けている。
2026年7月1~2日のキーウ攻撃は、2025~26年にかけてロシアがウクライナ都市に対して繰り返してきた大規模空爆の最新例にすぎない。2025年4月(キーウで8人死亡、80人以上負傷)、9月(4人死亡、70人負傷)、11月(6人死亡、35人負傷)など、民間インフラへの長距離攻撃という戦術が継続している。一方、ウクライナの無人機攻勢拡大は、ロシアの戦闘能力を兵站(ロジスティクス)の窒息によって組織的に低下させようとする試みである。戦争研究所(ISW)は2026年6月、ウクライナの中距離攻撃キャンペーンがルハンスク州からクリミアに至る戦域全体のロシア物流を混乱させていると評価した。両陣営が互いに異なる標的でエスカレーションを続けるこの戦争は、外交的出口の見えない、苛烈な消耗戦へと突入している。