ポーランド外務省は即座に抗議。ナブロツキ大統領はこの決定を「怒りを覚える」「理解できない」「深く失望させる」と非難しました。そして6月19日、約13分にわたる演説で「ゼレンスキー大統領がウクライナ軍部隊に『UPAの英雄』と命名することに同意したことに鑑み」白鷲勲章の剥奪を正式に表明しました。ゼレンスキー氏はこの剥奪をポーランド国内政治の都合と関連づけましたが、ナブロツキ氏は否定しています。
危機のまっただなか、6月28日、ゼレンスキー氏は最高会議(議会)に「ウクライナ国民のパンテオン」を設立する法案を提出しました。これは「偉大なウクライナ人」を顕彰するためのもので、ゼレンスキー氏は「誰も我々に、どの英雄を称えるべきか指図することはできない」と宣言。ポーランド当局やメディアは、これをポーランド批判への直接の応酬と受け止め、溝はさらに深まりました。
ポーランドでは政党やイデオロギーを超えて異例の結束が見られました。
外交危機は、6月25~26日にグダニスクで開催予定だったウクライナ復興会議に直接的な影を落としました。ブルームバーグは「歴史的緊張」がイベントに不確実性をもたらしていると報道。ポーランド企業協議会は両首脳に緊急の公開対立終結を求め、エスカレーションが「両国に深刻な経済危機」を招く恐れがあると警告しました。
それでもウクライナは会議を強行。首相のデニス・シュミハリ氏は同会議で100億ユーロ超の契約を締結する見通しと発表。会議自体は和解的なトーンで進み、EUの900億ユーロ融資の第一弾32億ユーロも発表されました。しかし政治的な冷え込みは海外投資家を萎縮させるリスクがあります。専門家は2026年をウクライナ・ポーランド経済協力の「決定的な年」と位置づけ、亀裂が欧州支援国全体での復興への信頼を損なうと懸念しています。
この対立は歴史的な象徴問題にとどまりません。
キーウとワルシャワの関係悪化は、ロシアの全面侵攻開始以来、ウクライナの同盟網にとって最も深刻な試練の一つです。双方とも永続的な損傷は防ぎたい意向を示していますが、根深い歴史的怨念は短期間では解消されそうにありません。ウクライナのEU加盟や復興の行方に影響を及ぼす可能性があり、先行きは不透明です。