米イランによる応酬:ホルムズ海峡を舞台に
6月28~29日、米軍とイランがホルムズ海峡を含む中東地域で攻撃を応酬。米中央軍は「防衛目的の攻撃」と説明し、イラン側は「米国が停戦に違反した」と非難した。この応酬により、ブレント原油先物は0.7~1.3%程度上昇し、72ドル台前半で推移した。イランが同日に技術協議を欠席したとの報道もあり、停戦合意そのものが危ういとの見方が強まった。
暫定合意の脆弱性
6月17日に署名された覚書(MOU)は、高濃縮ウラン在庫の削減、対イラン制裁の一時停止、イランによる原油輸出の容認などからなる。しかしトランプ大統領は「これは最終合意ではない。必要なら再び爆撃に戻ることもあり得る」と警告しており、合意の基盤は不確かなままだ。また、過去数週間の外交協議では進展が限定的で、断続的なスキルミッシュや相互批判が続いていた。こうした状況が、地政学リスクプレミアムを原油市場に常駐させる要因となっている。
ホルムズ海峡の航行リスク
ホルムズ海峡は世界の石油供給の約20%が通過するチョークポイントであり、その安全はエネルギー市場にとって死活問題だ。今回の応酬では、イランが商船への攻撃を再開し、米国がそれに応じる形で軍事的緊張が再燃、市場は直ちに反応した。国際海事機関(IMO)が一時退避計画を中断したとの報道もあり、供給途絶リスクが価格に織り込まれた。
外交協議の行方
6月29日時点では、米国とイランが攻撃停止と海峡航行再開で合意したとの米当局者発言も出ているが、協議の継続自体は不透明だ。6月28日にはイラン側が技術協議を欠席し、米国側は協議継続を主張するなど、立場が分かれている。こうした外交の進展が不透明なままだと、市場の楽観は限定的となる。
サウジアラムコ、ラスタヌラの積み出し再開——供給回復への期待
一方で、下支え要因も存在する。サウジアラムコは6月25~26日、約4カ月ぶりにラスタヌラ沖積出施設での原油積み込みを再開した。これはペルシャ湾からの大規模輸出再開を示す象徴的な出来事であり、中東供給の回復を示唆している。実際に、超大型原油タンカー(VLCC)が複数、積み込みを開始したという。これにより、地政学リスク昂進による上昇圧力が一部相殺された。
検証できなかった情報
提供されたソースからは、2026年6月下旬時点での「米国-革命防衛隊(IRGC)ホットライン」の運用状況を確認することはできなかった。現在の報道では、外交協議や停戦合意の脆弱性について言及されているものの、直接的な軍事ホットラインの稼働状態には触れられていない。
| 要因 | 原油価格への影響 |
|---|---|
| 米イラン応酬(ホルムズ海峡) | 上昇圧力:報復攻撃発生により価格上昇 |
| 暫定合意の脆弱性 | 上昇圧力:外交停滞と不信感がプレミアム維持に |
| ホルムズ海峡の安全リスク | 上昇圧力:チョークポイントゆえ、供給途絶で価格上昇 |
| 外交協議の継続 | 下落圧力(程度は限定的):協議継続は楽観材料 |
| サウジアラムコ・ラスタヌラ再開 | 下落圧力:供給回復期待が高まる |
| 米国-IRGCホットラインの運用 | 検証不可:提供ソースでは確認できず |