Investing.comの報道によると、アードモア・シッピング(Ardmore Shipping)が9%安、フロントライン(Frontline)が8%安となり、ドリアンLPG(Dorian LPG)やスコーピオ・タンカーズ(Scorpio Tankers)も5%安となりました。ドライバルク船社も同様に下落し、スター・バルク(Star Bulk)は7.4%安、ジェンコ・シッピング(Genco Shipping)は32%安となっています。
米国とイランが6月17日に了解覚書(MoU)に署名した後、ホルムズ海峡の船舶通行量は急速に回復しました。6月18日には民間商船25隻が海峡を通過し、これは4月中旬以来の最高記録でした。6月24日には通行量が78隻に達し、戦争が始まった2月下旬以来の高水準となりました。このうち42%はオマーンとIMOが管理するルートを利用していました。
トラフィックが増えれば増えるほど、それまで供給制約によって高止まりしていたタンカーのスポット運賃に下落圧力がかかります。実際、6月24日の78隻の内訳には22隻の石油・ケミカルタンカーと12隻のLNG船が含まれており、タンカー市場全体に直接的な影響を与えました。
6月17日、トランプ大統領はイランとの合意を最終決定しました。この合意により、米国はイランに対する制裁を停止し、イランが石油を自由に輸出できるようになりました。さらに6月23日には、米国財務省が60日間の制裁免除(General License X)を発行し、イランがドル建てで国際的に石油を販売することを認めました。
この決定の市場への影響は明白でした。紛争時に生じていた「供給不足プレミアム」が消失し、イラン産原油が本格的に市場に戻ることで、タンカー charter(用船)の収益性を押し上げていた希少性プレミアムが縮小しました。さらに、米国はイランに対し、核査察官の受け入れを条件として約120億ドルの凍結資産の解放も約束しました。
IMOは6月23日に、ホルムズ海峡で立ち往生した船舶を避難させる計画を開始しました。ところが6月25日、シンガポール船籍のコンテナ船「Ever Ally」がオマーン沖で正体不明のプロジェクタイル(投射物)による攻撃を受けました。この攻撃を受けて、IMOのドミンゲス事務局長は避難計画の一時停止を発表しました。
ドミンゲス事務局長は声明で、「私は本日、オマーン湾でホルムズ海峡を通過した船舶に対する攻撃があったと報告を受けた。この船はIMOの避難枠組みの下では航行していなかった。避難計画は、安全性の保証が再確認されるまで一時停止する」と述べています。
この出来事は、「外交的な合意があっても安全な航行はまだ確保されていない」という厳しい現実を突きつけました。避難計画の対象となっていた1万1000人以上の船員の安全も不確実なものとなり、海運会社の運航リスクは依然として高いことを市場に印象づけました。
これらの動きに連動して、原油先物相場も下落しました。米国がイラン制裁を一時解除し、イラン石油の国際販売を認めたことで、供給混乱への懸念が後退したためです。ガーディアン紙は6月23日、米国による制裁解除を受けて原油価格が下落したと報じています。
原油価格の下落はタンカー株にとって二重の逆風となります。そもそも戦争リスクプレミアムがタンカー事業の収益性を支えていたからです。
市場は6月27日(金)に、以下の4つの要因を同時に織り込みました。
結論として、複数の要因が重なったことで、市場は戦争リスクプレミアム(war-risk premium)を一気に剥落させました。ただし、一方で新たな攻撃が発生したことで、完全な平時への回帰がすぐには訪れないことも示されました。業界は「様子見」の姿勢を強いられ、運賃相場は平時水準へ向かいつつも、重要な通過点の安全性は依然として不確実な状態にあります。