ノート:一部の報道では、メモリ不足の一因として半導体製造に不可欠なヘリウムの供給途絶(イランの地政学リスクに関連)が指摘されていますが、今回入手した情報源からはこの点は独立して確認できませんでした。この要因は可能性として存在するものの、未確認の補足情報として扱います。
最も大きな値上げとなったのは、Mac Studio(M3 Ultra) で、実に33%の上昇です。これは、このモデルが高帯域メモリと大容量SSDストレージを大量に搭載しており、今回の供給不足の影響を最も直接的に受けたためです。この値上げ発表により、Appleの株価は同日6%下落しました
。
2026年6月17日にWSJに掲載されたインタビューで、クックCEOはこのメモリ価格の高騰を**「100年に一度の洪水(hundred-year flood)」** と表現し、自身の40年以上にわたる業界経験でも前例がないと警告しました。主な発言は以下の通りです。
「これは100年に一度の洪水だ。私は40年以上のキャリアで、どの分野においてもこれに匹敵するものを見たことがない。」
「私たちは自社に課せられた莫大なコスト増加を可能な限り緩和しようとしてきた。顧客を値上げから守ろうとしてきたが、状況は持続不可能になった。」
クックCEOは4月の決算発表でも、2026年中にメモリコストが業績に「大きな影響」を与えると警告していました。イーロン・マスク(テスラCEO)もこのクック氏の「100年に一度の洪水」発言にX上で同意を表明しています
。
今回の値上げはiPhoneにはまだ及んでいませんが、アナリストは9月に発売予定のiPhone 18 Proシリーズへの影響を強く警戒しています。
注意点:アナリストのジェフ・プー氏は2026年5月の時点で、AppleがiPhone 18 Proの価格維持のために「アグレッシブな価格戦略」をとる可能性を指摘していました。しかし、6月25日のMac/iPadの値上げとクックCEOの警告を受け、市場のコンセンサスは値上げの方向に傾いています
。
Appleは過去、DRAM価格の変動サイクルや2021~2023年の半導体不足の際にも、部品コストの上昇を吸収して値上げを回避してきたことで知られています。同社は巨額の利益率バッファーと強力なサプライチェーン交渉力を持っています。
今回は何が変わったのでしょうか。Appleは「これまで顧客を守ってきたが、価格を上げ始める地点に達した」と明言しました。クックCEOが「持続不可能」という言葉を使ったのは、メモリ部品に関しては初めてのことです
。
つまり、AI向けの需要がデータセンターに供給を奪い、それにより複数年にわたるDRAM/NAND価格の高騰が発生し、SKハイニックスの工場が2026年まで完売するという事態は、たとえAppleほどの規模であっても吸収できないほどの深刻さだったのです。
結論として、Appleがこれほど多くの製品ラインで同時にメモリコストの値上げを顧客に転嫁したのは初めてであり、これは同社がこれまで取ってきたコスト吸収戦略からの大きな転換点を示しています。
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