AI関連企業は、巨額の設備投資を続けることで将来の成長を約束されてきた。しかし、半導体大手ブロードコムが市場の期待を下回る業績見通しを発表し、AI関連の収益見通しを上方修正しなかったことが、市場に動揺を与えた。
これにより、これまで無尽蔵と思われていたAIへの設備投資が、本当に利益を生むのかという根本的な疑問が噴出したのだ。エヌビディア、サムスン電子、SKハイニックス、ソフトバンクグループなど、AI関連銘柄は軒並み急落。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6月5日に10.26%下落し、2020年のパンデミック以来の大幅な下げを記録した。
石油価格の高騰は、リスク回避のムードをさらに強め、エネルギー関連以外の運輸セクターなどにも二重の打撃を与えた。
この売りは世界的に同期し、地域を選ばず広がった。以下がその影響の大きさである。
欧州市場
米国市場
アジア太平洋市場
今回の下落は、単なる利益確定売りや一時的な調整とは一線を画すものだった。以下の点が、これまでとの決定的な違いである。
1. 「最大のトレード」の連鎖反応的な崩壊
2. 金融政策の方向転換
FRBのスタンスが「利下げ観測」から「利上げ観測」へと急転回したことで、バリュエーションの高いグロース株の「割高感」が一気に表面化した。
3. 同時多発的なコモディティショック
中東の地政学リスクは、FRBの利上げ圧力を緩和するどころか、インフレ懸念をさらに強めた。これにより、債券市場と株式市場の両方に売り圧力がかかるという、投資家にとって最も厳しいシナリオが現実のものとなった。
モルガン・スタンレーのグローバル投資委員会は、「AIへの設備投資ブームはウォール街の合言葉であり、景気後退懸念はほとんど存在しない」と、強気の見方を崩していない。しかし、これはAI投資のリターンが今後数四半期で明確になることが前提だ。もしそのリターンが期待に届かなければ、2026年6月の売りは単なる調整ではなく、長期的な市場の「曲がり角」として記憶されるかもしれない。
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