パンデミック以来の空売り記録:マネージド・マネーによるブレントのグロス・ショート(総空売り)残高は47.6%増加し、231,218枚に達した。これはパンデミック以降で最高水準である。米国のWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)についても、マネーマネージャーは約5カ月ぶりの高水準となる売り越しポジションを構築した
。この極端な弱気姿勢は、市場がさらなる価格下落をほぼ織り込み済みであることを示している。
ゴールドマン・サックス、ブレント予想を引き下げ:ゴールドマン・サックスは、需給見通しの変化を受けて繰り返し原油価格の見通しを下方修正してきた。6月中旬には、2026年第4四半期のブレント予想を(90ドルから)80ドルへ、2027年の平均予想を75〜80ドルへ引き下げた。その理由として、ホルムズ海峡合意後の湾岸地域の供給回復が予想より早いことを挙げている。それ以前にも、景気後退リスクやOPEC+の増産見通しを受けて2026年の年平均予想を引き下げていた
。モルガン・スタンレーも同様の下方修正を行っている
。
極端な弱気ポジションは、古典的なショートスクイーズ(踏み上げ)の構図を生み出しており、いくつかの要因がそのリスクを一層高めている。
現物在庫は危機的に逼迫:中東からの供給が数カ月にわたり途絶えた影響で、世界の原油および石油製品在庫は驚異的なペースで減少している。米国の原油・石油在庫は2004年以来の低水準に落ち込んだ。米エネルギー情報局(EIA)は、主要経済国の石油備蓄が複数十年ぶりの低水準に向かっていると警告している
。ExxonMobilの上級副社長は、買い手が市場の実際の逼迫度に気づけば、現物のブレント価格が1バレル150〜160ドルに跳ねる可能性があると警告した
。
タイトな現物需給と記録的な空売りのミスマッチ:これが核心的な緊張(テンション)である。ある分析によれば、「市場の根底にあるセットアップは、ショートポジションの集中とタイトなフロート(流通在庫)状況を明らかにしており、これが急激なスクイーズを引き起こす可能性がある」という。石油トレーダーは「ホルムズ危機が終わったかのように空売りを仕掛けている」が、実際には日量約1300万バレルの供給が依然としてオフラインの状態にある
。ホルムズ海峡の物理的な再開が遅れたり、米・イラン交渉に何らかの障害が生じたりすれば、ヘッジファンドは急速に空売りを買い戻さざるを得なくなり、価格が急騰するだろう。
逆ザヤ(バックワーデーション)が示す現物の逼迫:ブレント先物のカーブは逆ザヤ(バックワーデーション)に転じている。これは、期近の限月が期先の限月よりも高く取引される状態であり、投機的なショート(売り)の論理とは裏腹に、現物市場が逼迫していることを示す明確なシグナルである。
ブレントの79ドル割れは、米・イラン和平合意の早期成立と湾岸地域からの供給再開に賭ける強力な投機の波によって引き起こされた。しかし、同じ記録的な空売りポジションが、危機的に減少した現物在庫や逆ザヤの相場と組み合わさることで、暴力的な反転(ショートスクイーズ)のリスクは極めて高まっている。もしホルムズ海峡の再開が遅れたり、あるいは交渉が頓挫したりすれば、空売りを巻き戻す動きが爆発的な上昇を引き起こす可能性がある。
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