6月12日に合意された60日間の予備的停戦、そして6月17日に両国大統領が署名した覚書(MOU)を受け、6月21日からスイスで本格的な協議が開始された。米国側はJ.D.バンス副大統領が代表を務めている。 この交渉は先行き不透明な幕開けとなった。6月19日にジュネーブでの協議が突如中止されたが、その後再開され、6月22日には「緊張感はあったが」「建設的」な初回協議を終了。双方は最終合意に向けた枠組みで合意した。
協議の進展に関するニュースはことごとく暗号資産市場を動かした。6月8日のワシントンからのあるヘッドラインは、ビットコインを1時間足らずで5%も急騰させた。 6月16日にはイラン和平合意への期待からビットコインが1.22%、イーサリアムが4.37%上昇した。
しかし6月19日には、和平合意にもかかわらず価格は再び下落。FRBのタカ派的な経済指標や、レバノンにおけるイスラエルとヒズボラの戦闘再燃が先行きを不透明にしたためだ。
暗号資産オプション取引所Deribitでは、6月20日時点でコール(買う権利)の建玉(O.I.)が58.50%と、プット(売る権利)の41.50%を上回っており、持続的な強気のポジショニングが示されている。 最も活発な契約の一つは、2026年12月にビットコイン価格12万ドルを目標とするもので、11万~12万ドル、さらには15万ドルを超える範囲に膨大な建玉が集まっている。
Deribitの2026年9月と12月限の最大痛点(マックスペイン) は7万5000ドルに上昇している。これは、マーケットメーカーがその価格帯にビットコインを誘導する強いインセンティブを持つことを意味し、現在の価格から上昇を促す引力となる。 より短期的に見ると、現物価格が6万4000ドル近辺であるため、多くのコールがアウト・オブ・ザ・マネー(権利行使価格より価格が低い状態)となっており、権利行使日が近づくにつれて最大痛点への引力はさらに強まる。
金曜日6月26日に、大規模なビットコインオプションの満期を迎える。検索結果で106億ドルという想定元本額を独自に確認することはできなかったが、毎月行われるDeribitの大規模な満期パターンは一貫している。直近のオプション総建玉は約300億ドルに達する。 4月には98.7億ドル、5月29日には約37億ドルの満期を迎えており、その規模の大きさが伺える。
これらの大規模な満期は、最大痛点へのピニング(価格誘導)を引き起こす。マーケットメーカーは伝統的に最大痛点を守ろうとし、歴史的に見て満期日前後には現物価格がその水準に引き寄せられる傾向がある。
イーサリアムは6月21日時点で約1,739ドルで推移。 6月18日には5.2%下落し、現在は200週単純移動平均(SMA)を約30%下回っており、歴史的に市場のストレス局面と関連付けられる水準にある。
一方で、6月16日のイラン和平合意への期待からは一時4.37%の上昇を見せた。
地政学的要因は複雑だ。イラン停戦の枠組みは、ホルムズ海峡封鎖や軍事衝突激化といった極端なテールリスクを低減させ、断続的にリスク選好を高めている。 しかし、レバノンでのイスラエルとヒズボラの戦闘再燃はレバノン停戦を脅かし、合意履行を難しくしている。これにより、暗号資産には引き続きボラティリティプレミアムが織り込まれている。
マクロ経済の逆風は無視できない。6月の米雇用統計が市場予想を上回ったことで、FRBのタカ派的な見通しが強まった。この影響で、イラン和平合意署名の週でもビットコインは約3%下落した。 ビットコインは前年同期比で37.8%下落している。
オプション構造は市場の分断を示している。オプション市場は力強い回復を織り込んでおり、2026年12月限の12万ドルコールが非常に活発だ。しかし、短期的な最大痛点が7万5000ドルにあることは、新たな大幅な下落要因がなければ、マーケットメーカーが今後6カ月間で価格を現在の水準からその水準に向けて押し上げるインセンティブがあることを示唆している。
機関投資家の資金フローは下値を支えている。6万ドルのサポートを試した後、ETFへの資金流入はビットコインを6万4000ドル近辺で安定させる助けとなっている。著名トレーダーの中には、6万ドルを「絶好の accumulated ゾーン」と呼ぶ者もいる。 マイケル・セイラー氏は年末の回復を予想しているが、6月初旬の彼のビットコイン売却は、短期的なセンチメントを悪化させた。
結論: ビットコインは約6万4000ドルで脆い膠着状態にある。機関投資家の買いとオプション市場の楽観に支えられている一方で、FRBのタカ派姿勢と地政学的な不透明感が重しとなっている。6月26日のオプション満期は短期的なボラティリティを高める可能性がある。オプション構造は、年末までに7万5000ドル(最大痛点)への緩やかな上昇を示唆する一方、より強気な2026年後半の12万ドル目標は、持続的なマクロ経済と地政学的な回復にかかっている。