この急増の原動力は「コントロール」への欲求だ。ある業界関係者は、「太陽光は、人々が少しでも主導権を握り、自分で電力を生み出し、変動する化石燃料価格への露出を減らせる数少ない方法の一つ」と語る。英国での「太陽光パネル」のオンライン検索数は2026年1月以降104%増加している
。
一方、スペインでは別の、しかし同様に示唆に富む物語が進行している。気候系シンクタンクのEmberによる分析では、スペインの家庭は、風力と太陽光発電の急速な拡大のおかげで、進行中のエネルギー危機の間、電気代が毎月約10ユーロ節約できていることが分かった。スペインの風力・太陽光発電量は2021年から2025年にかけて37%増加し、通常最も高価な電源であるガスの価格形成への影響力を大幅に減らした。ガスが価格を決定した時間は、2021年の52%から2026年初頭にはわずか9% に低下した
。同報告書は、この再生可能エネルギーの拡大がなければ、標準的な家庭の電気代は19%高くなっていたと試算している
。
各国政府もまた、エネルギー戦略を、低コストという目標と相反する場合でも、安全保障とレジリエンス(強靭性)を優先する方向に調整している。
2026年6月18日に発表された世界経済フォーラム(WEF)の「エネルギー移行指数2026」 は、この緊張関係を直接的に捉えている。同指数は、エネルギー情勢が「より分断され、安全保障主導になっており、各国が持続可能性、手頃な価格、レジリエンスの優先順位を再調整している」と指摘する。記録的なクリーンエネルギー投資にもかかわらず、世界の「移行レディネス」(移行準備態勢)は10年以上ぶりに低下し、各国はより多様な国別戦略を追求している
。
この変化は、2026年版の世界エネルギー会議の「イシューズ・モニター」でも強調されており、「地政学が、経済ではなく、エネルギー転換の主要な推進力と見なされるようになった」と結論づけている。中東紛争の勃発前から、世界のエネルギーコミュニティは「地政学的脅威と不確実性を、エネルギー情勢を形成する決定的な特徴」と見なしていた
。
この結果、ある分析が指摘するように、気温上昇を1.5℃に抑えるという目標は「もはや実現可能ではない」と考えられ、リーダーたちはエネルギー安全保障と手頃な価格にますます焦点を当てている。移行はまだ続いているが、その様相は大きく異なり、より不均一でレジリエンス志向になりつつある
。
投資家の行動も、同じ安全保障主導の論理を反映している。IEAの「ワールド・エネルギー・インベストメント2026」報告書は、クリーンエネルギー技術に2.2兆ドル(再生可能エネルギー、送電網、貯蔵、原子力、効率化、電化)が、化石燃料に1.2兆ドルが投じられると予測。比率は約2対1である。
主なハイライト:
しかし、WEFは、地政学的リスクと断片化が「投資が高いままでも、より安全保障主導のエネルギー転換」を生み出していると警告する。IEA自身も、投資ブームの一因は「5年足らずで2度目のエネルギー危機に対処する各国の取り組み」にあると指摘している
。結果として生じているのは、記録的な資本がクリーンエネルギーに流れているにもかかわらず、移行のペースと協調が鈍化しているというパラドックスである。
IEA、WEF、英国政府、Emberのデータが裏付ける全体像は明確だ。
これは移行が失敗しているという話ではない。安全保障上の要請によって移行が作り変えられ、より分散化され、より国別に焦点を当て、よりレジリエンス志向になっているという話である。英国の太陽光ブームとスペインの再生可能エネルギーによる防衛は、この変化の具体的な証拠である。残された課題は、この安全保障主導の勢いが世界レベルで持続可能であり、協調できるかどうかである。
注記:2026年6月のボン気候変動会議での国連気候変動責任者サイモン・スティール氏の発言については、提供された情報源から回答することができませんでした。
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