2. 投機筋の円売りポジションが過去9年で最高水準に
投機筋はここ10年近くで最大の円売り越しポジションを積み上げている。
3. 日銀の小幅利上げは市場に織り込み済み
日銀は2024年3月以来、0.25%ずつの小幅で事前に十分にシグナルを送った利上げを繰り返してきた。そのため、各利上げは実施前に市場に織り込まれており、「噂で買い、事実で売る」というパターンで、発表後に円安が進む傾向がある。6月16日の利上げ後も、ドル/円は160.19円から160.38円へと、ドルが約0.12%上昇(円安)した
。市場参加者は、1.0%という金利も日銀が推計する中立金利に比べればまだかなり緩和的だと見ている。
片山さつき財務相は、口先介入を一段と強めている。6月19日、円が40年ぶりの安値に沈む中、同相は「外為市場における過度な投機的行為に対し、断固たる措置を取ることができる」と述べた。同相はこれまでも「必要に応じて常に措置を講じる用意がある」と繰り返し、過度な変動に対して「断固たる措置」を取ると警告してきた
。
日本政府はすでにその行動力を示している。2025年4月下旬から5月下旬にかけて、政府は過去最大の介入キャンペーンを実施し、11.73兆円(約730億ドル) を投じて円を防衛した。この介入は一時的に円安に歯止めをかけ(円は一時的に上昇した)ものの、構造的なトレンドを反転させるには至らなかった。2026年6月には、この介入水準を超えて円安が進み、6月18日には1ドル=161.80円まで下落した後、やや落ち着いている
。市場では、東京が再び介入する可能性が高いと見ており、特に1986年以来の最弱水準となる161.96円を試す場面では、その確率が高いとみられている
。
日銀が推計する中立金利は1.0%を大きく上回る
日銀が推計する中立金利は1.1%~2.5% の範囲にある。つまり、現在の1.0%という政策金利は、中立金利の下限を下回っているか、ぎりぎりの水準にある。内田真一副総裁は、今回の利上げ後、「経済・物価・金融情勢に応じて…政策金利の引き上げを続ける」方針を示した
。ブルームバーグは6月4日、日銀が2026年第4四半期の1.25%への追加利上げを議論していたと報じている
。
卸売物価が加速
円安による輸入コストの上昇が企業物価に波及しており、日銀の正常化への緊急性を高めている。日銀は6月の利上げの理由として、「物価上昇圧力の高まり」と、物価が2%目標を持続的に上回るリスクを挙げた。
テーパリングを巡る政策ジレンマ
日銀は、国債買い入れのテーパリング(段階的縮小)を一時停止または減速するかどうかも議論している。関係者は、利上げと同時に急速なバランスシート縮小を行えば、日本の高債務経済において市場のストレスが増幅する可能性があると認識している。日銀は円を支えるために引き締めたいが、引き締め過ぎによるリスクも懸念しているという難しいトレードオフに直面している。
円安の進行は、根強い政策金利差、極端な投機的ポジションの偏り、そして1回の0.25%の利上げでは修正できない信認のギャップの物語だ。日銀の1.0%という金利は日本の歴史的基準からすれば高いが、世界的に見れば依然として低く、中立金利を大きく下回っている。日銀が市場の予想を上回る大幅利上げを行うか、FRBが明確に利下げに転じない限り、キャリートレードと投機的な円売りは、円を40年ぶりの安値近辺に張り付かせ続けるだろう。政府による介入は、トレンドを変える手段ではなく、最終手段の「サーキットブレーカー」として発動される可能性が高い。
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