より深刻なのは、ニュースそのものへの信頼感の崩壊です。世界全体で「ほとんどのニュースをたいてい信頼できる」と答えた人はわずか37% と、2015年の調査開始以来、過去最低を記録しました。これは前年から3ポイントの低下です 。
各国・地域別では、英国が5ポイント減の30%、米国が25%と、主要先進国でも「信頼できる」と感じる人は少数派です 。特に顕著な落ち込みを見せたのがフィリピンで、10ポイント減の28%と、全48市場で最大の下落幅となりました。政治的な不安定さや報道機関への攻撃などが要因とみられます
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このニュース不信の背景には、人々が接触する情報チャネル自体の信頼性の低さがあります。SNS上のニュースへの信頼度はわずか22%と、全体平均を大きく下回りました。しかし皮肉なことに、人々はその「信頼できない」SNSに情報の大部分を依存している状態です 。
一方で、個別のニュースブランドへの信頼は相対的に堅調を維持しています。アイルランドでは「RTÉ News」や「ローカルラジオニュース」がいずれも71%の信頼を獲得しており、ブランド力を維持できているメディアには依然として一定の支持が集まっていることがわかります 。
信頼の低下と並行して、「ニュースへの興味そのもの」が多くの市場で急速に減退しています。なかでも英国での落ち込みが特に激しく、人々は意識的にニュースから距離を置いたり、アルゴリズムが提示する情報だけを受動的に摂取する傾向を強めています 。
この「ニュース離れ」を牽引しているのは、TikTokに代表される短尺動画と、そこで影響力を持つ個人クリエイターたちです。若年成人のほぼ半数が、今やTikTokを主要なニュースソースとしており、動画とクリエイターを軸とする情報流通モデルが、若い世代のニュースへの接し方を根本から変えつつあります 。
また、伝統的な「組織ジャーナリズム」に代わって、ポッドキャスターやYouTuber、TikTokerといった個人の発信者が「顔」となり、ニュースを伝えるパーソナリティ主導型の情報流通が急拡大しています。人々は「無味乾燥で自分ごとに感じられない」ニュースよりも、「親しみやすく本物っぽい」個人の声に惹かれる傾向を強めているのです 。
生成AIのニュース利用は、依然として小規模ながら確実に存在感を増しています。2026年のレポートでは、世界全体で約5%が「ChatGPTのような生成AIチャットボットを定期的にニュース取得に使う」と回答。これは2025年の水準から明確な増加を示しています 。
利用の中心は若年層で、35歳未満では15%が「ニュースにAIチャットボットを利用したことがある」と回答している調査もあります 。利用方法としては「ニュースの質問をする」(48%)、「内容をわかりやすく説明させる」(28%)、「話題を要約させる」(27%)などが主な使い道です
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もっとも、AIへの信頼はまだ限定的です。AIチャットボットの回答を信頼する人の割合は約20% で、ニュース全体への信頼度(37%)を下回ります 。英国と米国では、過去1年間のニュース目的でのAI利用は横ばいで、成長は一部の市場に偏っている状況です
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パブリッシャーにとっては、OpenAIのChatGPTやGoogleのGemini、PerplexityといったAIプラットフォームをいかに自社コンテンツの流通経路として組み込むかが、新たな戦略課題として浮上しています(ネットスコア+61と高い優先度) 。
2026年版レポートが描き出すのは、ニュースの「供給者」と「受け手」の関係が不可逆的に変化した世界です。
この現実の中で、ニュースを必要とする私たち一人ひとりが、情報の出どころを見極め、信頼できる「個」のブランドや媒体を選び取っていくリテラシーが、かつてないほど重要になっています。