スペースXのIPOは、引受幹事会社による追加売出し(グリーンシュー)の全量行使により、最終的な調達額が約13.1兆円(857億ドル)に達し、過去最大規模を記録。この追加分に対し手数料ゼロという異例の契約を銀行団と結んだ。 公開価格135ドルで初日を迎えた株価は19%急騰して160.95ドルで終了。時価総額は約320兆円(2.1兆ドル)を超え、イーロン・マスク氏は世界初の「兆万長者」(資産1兆ドル超)となった。

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スペースXの2026年6月の株式市場デビューは、その歴史の書き換えただけでなく、ウォール街の慣例や駆け引きのあり方をほぼ根底から覆した。ナスダックにティッカーシンボル「SPCX」として上場したこの新規株式公開(IPO)は、規模、手数料体系、そして市場の評価軸に至るまで、あらゆる点で過去最大級かそれ以上であり、アナリストの間では「人類史上最大のブルーチップか、あるいは危険なバブルか」という極端な意見の対立を即座に巻き起こした。
2026年6月12日(金)、スペースXは5億5,556万株を1株135ドルの固定価格で売り出し、まず750億ドル(約11.4兆円)の調達を実現した 。これは通常のIPOで行われる仮条件(価格レンジ)の提示と需要申告(ブックビルディング)を省略し、事実上の「テイク・イット・オア・リーブ・イット(この条件で受けるか、さもなくば去るか)」方式で価格が決められた点も異例だった
。
そのわずか3日後の6月15日(月)、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーを主幹事とする引受シンジケート団は、グリーンシューと呼ばれる追加割当オプション(オーバーアロットメント)の15%枠を全量行使。これにより8,330万株が追加発行され、最終的な調達総額は857億ドル(約13兆1,000億円)に到達した。この額は、2019年にサウジアラムコが記録した従来のIPO最大調達額を実に191%も上回るものである 。最終的に、約6億3,900万株のクラスA普通株が市場に放出された計算になる
。
公開価格135ドルでスタートした際の想定時価総額は約1.77兆ドル(約270兆円)だった 。取引初日、寄り付きは150ドルと即座に11%の上昇を記録
。初日の売買高は5億株を超え、年間の他IPOを圧倒する活況ぶりだった
。
一時176.52ドルまで急伸した後、終値は160.95ドルで着地し、初日の上昇率は19%。時価総額は約**2.1兆ドル(約320兆円)**となり、一瞬にして全米第6位の企業規模に躍り出た 。翌週月曜日にはさらに31ドル近く上昇し、終値は192ドル近辺に達した
。創業者イーロン・マスク氏は、これにより世界初の保有資産1兆ドル超えとなる「世界初の兆万長者」となった
。
今回のIPOで最も衝撃的だったのは、資金調達の規模だけではない。スペースXは銀行団との手数料交渉で、歴史的にも稀な勝利を収めている。
「手数料ゼロのグリーンシュー」は前代未聞の取り決めであり、世界で最も注目されるIPO案件を巡る銀行間の過熱した競争と、スペースX側のけた外れの交渉力を物語っている。
個人投資家への割り当て比率は、IPO前の数週間、最も注目された争点の一つだった。マスク氏はX(旧ツイッター)上で、発行体積の最大**30%**を個人に割り当てる可能性を示唆。これは通常5~10%と言われる大型IPOの個人比率の約3倍にあたり、日本のIPO市場のように個人に手厚いわけではない米国市場では極めて異例の発表だった 。
蓋を開けてみると、最終的な個人割当は 22.5%前後 と、米国の標準からすれば大幅に高い水準ながら、事前の期待には届かない結果に。公開価格で株を取得できなかった個人投資家からは落胆の声も上がった 。
スペースXはこの巨額資金の主要な使途として、野心的な新分野への投資を掲げている。それが軌道上AIデータセンターの建設である。
大型再使用ロケット「スターシップ」の輸送力と、自社の衛星インターネット網「スターリンク」の通信基盤を組み合わせることで、宇宙空間に人工知能(AI)の計算リソースを配備する計画だ。これは、地上の電力制約や冷却問題から物理的に解放された、全く新しいコンピューティング・インフラの構築を意味する 。
上場直後から、ウォール街のアナリストの間では異例の速さで評価が真っ二つに割れた。
上場前の6月10日、ニューストリート・リサーチのピエール・フェラグー氏は「オーバーウェイト」評価で目標株価165ドルのカバレッジを開始。これは公開価格から22%の上昇余地を示し、買収先のカーソル社を含めた企業価値を約2.3兆ドルと評価するものだ。
その根拠は、2030年までに売上高1,950億ドル、EBIT(利払前・税引前利益)650億ドルという大胆な業績予測。フェラグー氏は、スターリンクとAI事業部門「xAI」の長期的な収益性、そして「物理的な宇宙インフラ」という他のAI企業が持たない独自の競争優位性を市場が過小評価していると主張する 。
一方、激震が走ったのが取引開始当日だ。CFRAのアナリスト、キース・スナイダー氏は、6月12日の取引開始からわずか1時間足らずで、スペースXに希少な「売り」レーティングを発行し、目標株価を115ドルに設定した 。
この目標値は初日の終値から約29%の下落を意味し、同社の適正時価総額をわずか1.5兆ドル(CFRAの2027年売上高予想の20.2倍)と断じるものだ。スナイダー氏は「極めて高いバリュエーション期待」「膨大な設備投資の必要性」「実行リスクを伴う野心的な成長計画」を売り推奨の理由として挙げている 。
なお、これら両極端の間にも評価は分かれており、オッペンハイマーは目標株価190ドルの「アウトパフォーム」でカバレッジを開始。市場の大暴落に賭ける者がいる一方で、歴史的な上昇相場の始まりと見る者も同数いるという、極めて稀な状況が生まれている 。
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スペースXのIPOは、引受幹事会社による追加売出し(グリーンシュー)の全量行使により、最終的な調達額が約13.1兆円(857億ドル)に達し、過去最大規模を記録。この追加分に対し手数料ゼロという異例の契約を銀行団と結んだ。
スペースXのIPOは、引受幹事会社による追加売出し(グリーンシュー)の全量行使により、最終的な調達額が約13.1兆円(857億ドル)に達し、過去最大規模を記録。この追加分に対し手数料ゼロという異例の契約を銀行団と結んだ。 公開価格135ドルで初日を迎えた株価は19%急騰して160.95ドルで終了。時価総額は約320兆円(2.1兆ドル)を超え、イーロン・マスク氏は世界初の「兆万長者」(資産1兆ドル超)となった。
市場の見方は真っ二つ。ニューストリート・リサーチは目標株価165ドルで「オーバーウェイト」評価としたが、CFRAは取引開始直後に「売り」レーティングを付け、目標株価を115ドルと発表した。
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