しかし、試合後のピッチで彼が見せた涙は、歓喜だけのものではなかった。
彼の母親は、アメリカの厳しい入国審査の壁に阻まれたのだ。当時の政策では、カーボベルデ国民はビザ申請にあたり、最大1万5000ドル(約225万円)もの高額な「保証金」を支払う必要があった 。ヴォジーニャの家族は、この費用を捻出できず、母親は息子の人生最高の晴れ舞台をスタジアムで見守ることが叶わなかったのである。
ヴォジーニャの悲劇は氷山の一角に過ぎない。アメリカの移民政策は、サッカー界全体に衝撃を与えた。
この深刻な事態を受け、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、W杯開幕前日のメキシコシティでの記者会見で、驚くべき「解決策」を口にした。
彼は、FIFAには主権国家の入国管理を覆す権限はないとし、「私たちは世界の王ではない」と繰り返した 。ソマリア人審判員のケースについても「残念だが、我々にコントロールできないこともある」と述べ、FIFAとしてできることはやったと主張するにとどまった
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