高市首相とスターマー首相は、AI、原子力、防衛、再生可能エネルギー、金融サービスに至るまで、10以上の個別協定を含む包括的な経済安全保障パッケージで合意 。中国による重要鉱物の輸出規制への「重大な懸念」を共有し、サプライチェーン強靭化に共同で取り組むことも宣言している
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この文脈において、ラピダスとUKSCの連携は、「将来のAIを支える先端半導体の安定供給源を、日英両国で共同確保する」という極めて明確な地政学的メッセージを発信している。
英国政府がラピダスとの合意を急いだ背景には、同国が抱える半導体産業の構造的な弱点がある。
英国はARMをはじめとする世界的なチップ設計企業を多数抱える「ファブレス大国」だ。しかし、国内には7nm(ナノメートル)未満の最先端チップを製造できる工場(ファブ)が存在しない 。AIの性能を左右する先端ロジック半導体は、事実上、台湾のTSMCと韓国のサムスン電子に依存している状態だった。
この計画の柱は3つだ。
つまり、ラピダスとのMoUは、この計画の3つ目の柱に直結する「最後のピース」だったのだ。本計画の発表から、わずか6日後に合意が成立したことからも、英政府の強い決意が読み取れる。
この驚異的なスピード感は、トヨタ、ソニー、NTT、ソフトバンクなど国内8社の出資に加え、2025年度だけで政府から8,025億円、翌年度も6,315億円の追加補助金が投入されるなど、国策としての強力な推進があって初めて成し得るものだ 。
顧客獲得の布石はこうだ。
今回のUKSCとのMoUは、こうした北米中心の戦略を欧州市場へと拡大する橋頭堡だ。同時期に、イタリアの公的研究機関との研究開発協力も発表されており、ラピダスは日本発のグローバル・ファウンドリとして、「TSMC/サムスン一極集中」に揺さぶりをかける存在へと進化しつつある 。
ラピダスとUK半導体センターの覚書は、単なる一粒のニュースではない。これは、半導体の「設計」と「製造」を分業してきたグローバル体制が、経済安全保障の名のもとに「ブロック化」へと舵を切る象徴的な出来事だ。
「自国で設計したAIチップを、信頼できる国で製造したい」。
英国のAIハードウェア計画と、日本のラピダス国策支援。二つの意志が交差する地点に、世界で4番目となる2nmチップの量産ラインが立ち上がろうとしている。2027年の量産開始を目指し、この日英連携がどれだけの成果を結実させるのか。両国の技術立国としての本気度が、今まさに試されている。