Appleは6月8日(日本時間6月9日)に開催したWWDC 2026の基調講演で、Siriの大規模な再設計やAI搭載の写真編集ツール、さらには独立したSiriアプリなど、数多くの新ソフトウェアを発表しました 。
しかし、Bloombergの名物記者マーク・ガーマン氏がニュースレター「Power On」で報じたところによると、同社は3つの重要なiOS 27機能を意図的に隠しているといいます。これらの機能はいずれもAppleの社内テスト版や、現在配布されている開発者向けベータ版に既に存在しており、9月の新型iPhoneやApple Watchの発表イベントに合わせてお披露目される可能性が高いと見られています 。
ここでは、WWDCで語られなかった「3つの伏兵」と、今秋に期待される展開を解説します。
Apple Watch Ultraの象徴とも言える「Modular Ultra」文字盤は、大きな中央の時計表示と、ぎっしりと情報を詰め込める複数行のコンプリケーション(情報表示用ウィジェット)が特徴で、これまでUltraモデル専用の特権でした。
ガーマン氏の報告によると、Appleはこの人気デザインを標準のApple Watchモデル向けにアレンジした、よりシンプルなバージョンを開発中とのことです 。
この新文字盤は、存在感のある大きな時計表示こそ維持するものの、コンプリケーションの列が1つ減り、Ultra版と比べて表示できる情報量はやや少なくなります。まったくの新設計というよりは、人気の高いUltraの美意識を多くのユーザーに届けるための、現実的な“移植”と言えるでしょう 。
この文字盤はWWDCでは発表されませんでしたが、複数の報道がそのデビューを、Appleが毎年恒例のスマートウォッチの新製品を発表する「秋」と結びつけています。このタイミングから、次世代Apple Watchの目玉機能の一つとして搭載される可能性が高いです 。
開発が伝えられている、より野心的なiOS 27の新機能の一つが、プロやマニア層をターゲットにした、画面表示を細かく自分好みに変えられるカメラアプリです。ガーマン氏は5月28日付のBloombergの記事でこの構想を初めて伝え、ユーザーが画面上に表示する操作ボタンの種類や配置を自由に決められるインターフェースになると説明しました 。
その後の報道でさらに詳細が明らかになり、このアプリは「撮影モードごとに表示するウィジェットを変えられる」仕様になるといいます。例えば、ポートレートモードで表示する操作パネルと、ビデオやパノラマモードで表示するものを完全に別々に設定できるのです。これは、近年のiOSでほとんど変わらなかった「全モード共通の固定レイアウト」からの大幅な方針転換を意味します 。
この新カメラアプリは、次世代フラッグシップモデル「iPhone 18 Pro」の発売に合わせて投入される見込みです。これは、Appleがカメラ機能を自社の最上位機種を差別化する決定的な要素と捉え、全ユーザーに一斉に展開するのではなく、ハードウェアの進化と組み合わせて印象的な訴求力にしようとしていることを示しています 。
おそらく今回の中で最も影響が大きく、そして最も「消された」理由が気になる機能が「Siri Extensions」です。このフレームワークは、iPhoneユーザーがAppleのインターフェースから離れることなく、複数のサードパーティAIチャットボットを切り替えて使えるようにする仕組みです。WWDCの基調講演では一切触れられませんでしたが、実はiOS 27の開発者向けベータ版の中に、既にその仕組みが眠っていることが発見されました 。
社内資料によると、この「Extensions」フレームワークは、OpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeといったAIプロバイダーのアプリが、Siriや作文ツール(Writing Tools)、画像生成機能(Image Playground)と直接連携することを可能にします。テスト版には、この連携を管理する設定パネルや、対応アプリを集めたApp Storeの専用セクションも作り込まれていますが、現在はAppleのサーバー側で機能が無効化されています 。
ベータ版の内部メッセージには、このシステムについて「Extensionsは、インストールされたアプリのエージェントが、あなたのデバイス上のSiri、Siriアプリ、その他の機能と連携することを可能にします」とシンプルに説明されています 。
これはAppleにとって戦略的な転換点です。iOS 18以降、Siriは直接提携という形でChatGPTとの統合を実現してきました。しかしこの「Extensions」フレームワークは、Appleが個々のAI企業と個別に提携交渉をする必要性そのものを無くします。ユーザーは、自分が使いたいAIのアプリをインストールするだけで、システム全体でそれをデフォルトのAIとして選択できるようになるのです 。
では、なぜWWDCの発表から外されたのでしょうか? ガーマン氏や複数のメディアは、「規制」と「メッセージ戦略」の複雑な問題を指摘しています。欧州連合(EU)のデジタル市場法(DMA)をはじめ、巨大テック企業のAI提携に対する監視の目が世界的に厳しくなる中、ユーザーの問い合わせをデフォルトでGoogleやOpenAI、Anthropicに流すような機能を打ち出すことに、Appleが慎重になった可能性があります。さらには、Siriが競合他社のAIモデルへの“橋渡し役”に甘んじるような形は、「Apple独自のAIには競争力がない」と自ら認めるメッセージにもなりかねません。満を持してSiriの再出発をアピールしたい基調講演で、このような印象を与えるストーリーは、どうしても避けたかったのでしょう 。
しかし、基調講演では隠されたものの、開発者ベータ版にこのフレームワークが存在することは、Appleがリリースを真剣に計画している強力な証拠です。現在の報道では、この機能は9月のiOS 27公開版に予定通り搭載される見通しだとされています 。
これら3つの機能はいずれもAppleから公式に発表されたものではなく、最終的な仕様や提供時期、対応機種などは9月までに変更される可能性があります。とはいえ、実績のあるガーマン氏の報道と、開発者ベータ版に残された客観的な証拠は、これらが実在し、活発に開発されていることを強く示唆しています。
新型Apple Watchに合わせて投入される文字盤、iPhone 18 Proのために温存されたカメラの大改革、そしてSiriの未来の中核を担うAI連携の共通基盤。これら3つの機能には、「WWDCで語る6月の話題」ではなく、「新ハードウェアと共に体験を語る“秋の物語”」として周到に準備されている、首尾一貫したパターンが見て取れます。
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Bloombergのマーク・ガーマン記者が、6月8日のWWDC 2026基調講演で発表されなかったiOS 27の3大機能を報告。標準Apple Watch向けの「Modular Ultra」風文字盤、iPhone 18 Pro向けの完全カスタマイズ可能なカメラアプリ、そしてSiriで他社AIを選択できる「Extensions」フレームワークが9月の正式版に搭載される見通しです。
Bloombergのマーク・ガーマン記者が、6月8日のWWDC 2026基調講演で発表されなかったiOS 27の3大機能を報告。標準Apple Watch向けの「Modular Ultra」風文字盤、iPhone 18 Pro向けの完全カスタマイズ可能なカメラアプリ、そしてSiriで他社AIを選択できる「Extensions」フレームワークが9月の正式版に搭載される見通しです。 新文字盤は、Apple Watch Ultra専用だった大きな時計表示を備えた「Modular Ultra」のデザインを、コンプリケーション(情報表示)の列を1つ減らすことで標準モデルにもたらします。
iOS 27の開発者向けベータ版から発見された「Siri Extensions」は、ユーザーがSiriや作文ツールなどで、ChatGPT以外にもGeminiやClaudeといった好みのAIチャットボットを選べるようにする仕組みです。