これは、2025年に防衛費の急増を目的として導入された「国家免責条項」の枠組みを再利用したものだ。当時、EUはロシアの脅威に対抗するため、加盟国が4年間でGDP比最大1.5%の追加支出を財政ルール違反とみなさないことを認めた。欧州委員会は今回、この「枠」をエネルギー分野にも開放しようとしたのである。
この新たな仕組みを最初に利用したのがポルトガルだった。同国は2026年6月6日、欧州委員会から正式にエネルギー目的での「国家免責条項」の利用を認める勧告を受けた。ポルトガルは防衛費としても、すでにSAFE(欧州安全保障行動)プログラムを通じて58億ユーロのEU融資を要請しており、今回の動きは財政面での更なる柔軟性を求める姿勢の表れだった
。このポルトガルの事例が、結果的に加盟国間の意見の相違を浮き彫りにする試金石となった。
EFBのピーター・ハーセカンプ委員長は、次のように述べて警鐘を鳴らした。
EFBの警告は具体的だ。彼らは、2022~2023年のエネルギー危機の際、各国が導入した補助金が危機終息後も長く残り、財政規律を損なった「政策の失敗」を繰り返してはならないと主張した。また、防衛目的の例外規定をエネルギーに拡大することは、恒久的な財政緩和を常態化させ、新たな財政ルールの信頼性を根本から損なうリスクがあると指摘している
。
今回のユーログループでの亀裂は、極めて厳しい経済・地政学的状況を背景に生じた。
独立機関であるEFBも、「パンデミック時の失敗を繰り返すな」と強く警告している。ポルトガルが最初の適用国となり、制度の現実性を示した一方で、この亀裂はホルムズ海峡封鎖、ECBの利上げ、そして0.9%成長という厳しい経済環境の中で起きている。間近に迫った6月18~19日の欧州理事会では、この複合危機に対するEUの財政運営の方向性が厳しく問われることになる。
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