この計画は、2025年7月2日に北京で署名された二カ国語(ロシア語・中国語)の軍事協定によって正式に定められており、ロイターはこの文書を直接確認したと報じている。同じ報道で引用されたロシア軍の内部報告書によると、訓練は北京と、東部の都市・南京にある中国の施設で実施されたという 。情報筋は、この課程を修了した兵士の一部が、後にウクライナでの戦闘に復帰したと述べている
。
2026年6月11日から12日にかけて、EUは慎重な情報共有から公の場での確認へと踏み切った。EU高官は記者団に対し、「中国によるロシア兵の訓練は、我々の情報機関によって確認されている」と述べ、「数百人」規模の関与があったことを明らかにした 。欧州議会はこれに先立つ 2026年4月の決議で、中国を「ロシアの戦争努力の主要な実現要因(key enabler)」と正式に非難していた
。
北京とモスクワは、この報道を否定している。ロイターの報道直後、クレムリンは根拠がないと一蹴し、中国は中立の立場を維持していると公言してきた 。しかし、EUの立場は明確だ――当局者は、この情報は決定的であり、中国側のこれまでの「中立」の表明とは明確に矛盾するとしている
。
この訓練の発覚は、関係悪化の始まりではなく、すでに急勾配だった坂道を転がり落ちる決定打となった。
EUの対中物品貿易赤字は2025年に3599億ユーロに達し、前年比2.7%増と、2024年の3122億ユーロを上回った 。この数字は、過去最悪を記録した2022年の3973億ユーロには及ばないものの、欧州の政策担当者は、この不均衡を構造的に「持続不可能」と位置づけるようになっている
。
象徴的な亀裂は、2025年7月に訪れた。外交関係樹立50周年を記念するはずだった待望のEU・中国首脳会議は、中国側の要請により、予定されていた2日間からわずか1日に短縮された。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、緊迫した北京での会談を終え、貿易関係は「明確な転換点(definite turning point)」に達したと宣言した 。この背景には、中国が新たに発動したレアアース輸出規制があり、欧州首脳はこれを意図的な締め付けと受け止めた
。
2026年初頭には、計画されていた外交関係の「リセット」が完全に頓挫した。ユーロニュースは後にEUの姿勢を「『害を与えない(do no harm)』段階」と表現した。北京によるレアアースを利用した「恐喝」が、残っていた善意を粉々に砕いた後の、防衛的で慎重な関与である 。内部では、欧州委員会がほとんどの委員を招集し、正式な**「方向性議論」**を実施。そこでは、現在の貿易構造が「持続可能ではない」と公に表明された
。
スペイン、イタリア、オランダ、フランス、リトアニアの5カ国が連合し、中国の産業における過剰生産能力を標的にした、より厳しい政策を推進している 。方向性議論の後の欧州委員会の公式見解では、中国を「重要なパートナー」としつつも、現在の貿易関係をこれまでの形で継続することはできないと断言している
。
EVモーターからミサイル誘導システムまで、あらゆるものに不可欠な17元素からなるレアアース。その供給を中国に握られていることは、長らく欧州の脆弱性だった。EUはレアアース供給の9割以上を中国に依存している 。この依存が「武器」となったのが、2025年のことだ。
2025年4月4日、中国はサマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7つの重レアアースと、それらを用いた永久磁石に対し、輸出許可制を導入した 。さらに 2025年10月9日には、より攻撃的な第二波が続き、対象に5元素を追加。加えて、米国の規制を模倣した「外国直接製品ルール」を導入した。このルールは、中国産レアアースをわずか0.1%でも含む外国製造品にも中国の輸出許可を義務付けるというものだ
。
ブリュッセルは三つの政策でこれに対抗した。
欧州議会は一貫して欧州委員会に圧力をかけ続けた。2025年7月の決議では、CRMAの早期実施、EU共同での採掘・精製プロジェクト、戦略的備蓄の整備を強く求めた 。一方、**欧州中央銀行(ECB)**は、中国の輸出規制がユーロ圏に「供給主導の生産減少とインフレ加速」というリスクをもたらすと警告を発している
。
2026年半ばの今、EUと中国の関係は、もはや単一の紛争で定義できるものではない。
秘密訓練計画の発覚は、対立を防衛と情報の領域にまで拡大させた。貿易赤字は、EU内での経済関係そのものを政治的に有害なものへと変えた。レアアース規制により、ブリュッセルはサプライチェーンの主権確保を存亡をかけたプロジェクトとして扱わざるを得なくなった。
中国側の立場は揺るがない。訓練の報道は虚偽であり、輸出管理は正当な安全保障措置であり、EUの貿易問題に対する不満は政治的な動機に基づくもの、というのが公式見解だ。
対するEUの立場は、これら三つの危機はすべて同じ問題の症状である、というものだ。すなわち、北京がいつでも「武器化」する用意のある依存関係の上に成り立っていた関係性、その崩壊である。ReSourceEU戦略、重要原材料法、そして通商政策の強硬化に向けた政治的コンセンサスの高まりは、EUがもはや「リセット」への淡い期待を捨て、自らの力で影響力を構築し始めたことを如実に示している。
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