論争の核心にあるのが、ソマリア人審判員オマール・アルタン氏(34)の事例だ。
ソマリア人として史上初めて男子ワールドカップの審判員に選出されたアルタン氏は、6月6日に有効な外交パスポートと複数の米国ビザを所持したままマイアミ国際空港に到着した。しかし、米国税関・国境警備局は「審査上の懸念」を理由に彼の入国を拒否した 。
この問題について問われたインファンティーノ会長は、6月10日のメキシコシティでの記者会見で「チルして、リラックスしてほしい」と発言した。さらに、「FIFAは政府に誰を入国させるべきか指図できない」とも付け加えた 。
この「無力さ」の強調と、どこか突き放したような言い回しは、世界中のメディアや専門家から非難の嵐を巻き起こした。審判部門を統括するピエルルイジ・コッリーナ氏はマイアミに審判団の拠点を置いていたが、まさにその地でチームの一員が締め出されたのだ 。
(補足:UEFAはその後、アルタン氏を8月のUEFAスーパーカップ決勝の主審に任命し、「せめてもの救済」と報じられている 。)
アルタン氏のケースは氷山の一角に過ぎなかった。トランプ政権は2025年1月の再始動以降、出場国であるイラン、セネガル、コートジボワール、ハイチを含む複数カ国からの渡航者に対して厳しい入国制限や禁止措置を発動している 。
主な影響は以下の通りだ。
こうしたFIFAの姿勢には、サッカー界の重鎮からも厳しい視線が注がれている。
入国障壁に加え、高額なチケット価格もまた、大きな批判の的となっている。BBCの分析は、参加国の4分の1以上からのファンが、入国規制や事実上のビザ発給困難に直面している現実を伝えている 。こうした状況は、この大会が一体誰のためにあるのか、世界中のファンに重い疑問を投げかけている。
2026年大会は、その歴史的なフォーマットと政治的緊張のただ中で、ピッチ上での熱狂をはるかに超える問題と向き合いながらの船出を余儀なくされているのだ。
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