Prometheusが開発しているのは、チャットボットでも画像生成AIでもありません。ベゾスはこれを**「人工汎用エンジニア(Artificial General Engineer)」**と名付け、現実世界の物理的な製品を設計し、改良するためのAIシステムの構築を目指しています 。
具体的な対象は、ジェットエンジン、医療機器、半導体、バッテリー、ソーラーパネルといった高度な工業製品です。従来であれば、設計→試作→テスト→改良という「発明のループ」には莫大な時間とコストがかかっていました。Prometheusは、物理世界の挙動をデジタル空間でシミュレーションすることで、このプロセスを飛躍的に加速させようとしています 。
ある意味で、これは最先端の「AI版CAD(コンピュータ支援設計)」ともいえる構想です。
代わりに彼はPrometheusの事業を**「物理経済のためのAI」、あるいは「発明と物理エンジニアリングのためのAI」**と位置づけています。工場の自動化ではなく、製品そのものの「設計プロセス」の革新に焦点を当てている点が最大の特徴です 。
Prometheusの共同CEOは、ジェフ・ベゾスとヴィック・バジャイの2名です。バジャイ氏は、Google X(現在のX、the moonshot factory)やライフサイエンス企業Verily、Foresite Labsの幹部を歴任した経歴の持ち主で、物理学と化学のバックグラウンドを持っています 。
社員数は約120〜150名と報じられており、その多くがOpenAI、Google DeepMind、xAI、MetaといったトップAI研究機関から引き抜かれた精鋭です 。創業からわずか半年あまりで、AI業界の最重要人材を結集させたことになります。
Prometheusとは別に、ベゾスは2026年3月に、中東やアジアの政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)や大手資産運用会社と、最大1,000億ドル(約13兆7,000億円)規模の投資ファンド設立に向けた初期協議を行っていると報じられました 。
この巨額ファンドは、既存の製造業や工業企業を買収し、PrometheusのAI技術を導入することで、製造現場の抜本的な自動化と近代化を推進する計画です 。実現すれば、ソフトバンクの「ビジョン・ファンド」に匹敵する、世界最大級のテクノロジー投資ファンドとなります。
ただし、2026年6月時点では、本ファンドはあくまで初期段階の協議中であり、正式な発表やクロージング(取引完了)には至っていません。
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