ITScape(CVE 2026 46316)は、ARM64上のLinux KVMに存在する初のゲスト脱出脆弱性です。悪意のある仮想マシンが、ホスト上でカーネル権限の任意コードを実行可能になります。既に動作する公開エクスプロイトが存在します。 KVMのvGIC ITS割り込み変換キャッシュにおける競合状態(Use After Free)が原因で、2024年4月下旬から2026年6月上旬までのカーネルが影響を受けます。

Create a landscape editorial hero image for this Studio Global article: What is the CVE-2026-46316 ("ITScape") vulnerability in Linux KVM/arm64's vGIC-ITS emulation, including its root cause as a race condition i. Article summary: Here is the full breakdown of **CVE-2026-46316 ("ITScape")**, based on the available evidence.. Topic tags: general, general web, user generated, government. Reference image context from search candidates: Reference image 1: visual subject "| CVE-2026-7572An off-by-one error (CWE-193) in the ConsumeUnit16Array and ConsumeUnit64Array functions in Velocidex Velociraptor before version 0.76.5 on Windows and Linux allows" source context "Latest Linux Vulnerabilities" Reference image 2: visual subject "# CVE-2026-23425: Linux Kernel Privilege Escalation Flaw. CVE-2026-23425 is a privilege escalation vulnerability in the Linux kernel affecting KVM ARM64 ID register i
KVM/arm64の悪名高い脆弱性が、ついにARMのエコシステムにも現実のものとなりました。LinuxカーネルのKVM/arm64サブシステムで発見されたUse-After-Free(メモリ解放後使用)の脆弱性により、巧妙に細工されたゲスト仮想マシンがその隔離環境を突破し、基盤となるホストの完全な制御を奪取できることが判明しました。本脆弱性はCVE-2026-46316として追跡され、ITScapeと命名されています。これは、KVM on arm64における世界初の公開されたゲスト脱出エクスプロイトであり、マルチテナント型のARMクラウド事業者に緊急パッチ適用の猶予を与えない、極めて重大な転換点です 。
本脆弱性は2026年6月初旬にセキュリティ研究者Hyunwoo Kim(キム・ヒョヌ)氏によって公開されました。理論上の懸念ではなく、完全に動作する検証用エクスプロイト(PoC)コードがGitHubで公開されています。このPoCは、LPI変換キャッシュが無効化されている最中に、複数の仮想CPUスレッドから同時にDISCARD ITSコマンドを発行することで競合状態を引き起こします 。その影響は、信頼できない仮想マシン内部からのホスト完全掌握です。
ITScapeは、KVMのインカーネル仮想汎用割り込みコントローラの割り込み変換サービス(vGIC-ITS)に存在する競合状態(Race Condition)です。vGIC-ITSは、arm64の仮想化ゲスト向けに論理プロセッサ割り込み(LPI)変換を処理します。変換キャッシュエントリを無効化する必要がある場合、カーネルはエントリを探索し、その参照を解放します。問題は、この無効化関数が、イテレータが返した全てのエントリに対して参照を解放していたことです。これには、並行して動作する別の処理によって既にキャッシュから削除されたエントリも含まれます 。
この二重解放とも言える動作が、古典的なUse-After-Free(UAF)を引き起こします。つまり、二つの実行パスが、既に解放されたメモリ領域を操作することになり、攻撃者はヒープを操作し、最終的にはホストカーネルレベルでの制御フローを乗っ取る機会を得ます 。
バグはvgic_its_invalidate_cache()関数に存在します。この関数はxa_for_each()を使ってITSごとの変換キャッシュを探索し、xa_erase()が安全に返す値ではなく、イテレータが指し示すポインタに対してvgic_put_irq()を呼び出していました。この関数は異なるロックの下で複数のコンテキストから呼び出されるため、ゲストからITSコマンド処理、GITS_CTLRへの書き込み、再分配器(Redistributor)でのEnableLPIsクリアなどを組み合わせることで、競合状態を簡単に引き起こせます
。
ゲストからホストへの脱出脆弱性は稀ですが、クラウドコンピューティングが依存する隔離境界そのものを破壊する、最も危険な種類のハイパーバイザーバグです。これまで公開されたKVM脱出の事例は、主にQEMUやAMD固有のコードを経由したx86アーキテクチャを対象とするものでした 。ITScapeは、権限のないarm64ゲストVMから、ユーザー空間のエミュレータのバグではなく、インカーネルのKVMコード自体を介した脱出を実証した初のエクスプロイトです
。
AWS Graviton、Ampere Altra、またはその他arm64 KVMホストでマルチテナントのワークロードを運用しているクラウド事業者にとって、ゲストは以下のことが可能になります。
多くのセキュリティチームが、この脆弱性をCVSS 9.0超と評価しており、その深刻度が極めて高いことを示しています 。
脆弱なコードは、LPI変換キャッシュの無効化処理にあります。カーネルがキャッシュエントリのフラッシュを必要とする場合、xa_for_each()でXArrayを反復処理し、各エントリに対してvgic_put_irq()を呼び出して参照カウントを解放します。問題は、xa_for_each()が、別の仮想CPUから発行されたDISCARD ITSコマンドなど、並行操作によって既に消去されたエントリを返す可能性があることです。無効化ループは、この既に削除されたエントリに対して参照を解放してしまい、結果として二重解放、最終的にはUse-After-Freeを引き起こします
。
同様のコード領域における以前の脆弱性、CVE-2024-26598は、vgic_its_check_cache()内でロックを解放する前に参照カウントを増やすことで、LPI変換キャッシュのヒットパスにおけるUAFに部分的に対処していました。しかし、この修正は今回の無効化パスをカバーしておらず、異なるトリガーシーケンスによって競合が悪用可能なまま残されていました
。
上流(アップストリーム)カーネルに適用された修正では、vgic_put_irq()がイテレータの触れる全てのエントリではなく、xa_erase()によって返された値に対してのみ呼び出されるようにvgic_its_invalidate_cache()が変更されました。コミットメッセージは次の通りです。"KVM: arm64: vgic-its: Drop the translation cache reference only for the erased entry"(KVM: arm64: vgic-its: 消去されたエントリに対してのみ変換キャッシュの参照を解放する)
。
xa_erase()はアトミックにエントリを削除して古いエントリを返すか、エントリが既に存在しない場合はNULLを返すため、この修正により参照カウントは厳密に一度だけ減算されることが保証され、二重解放の可能性が排除されます。このパッチは2026年6月初旬にアップストリームカーネルに取り込まれ、2026年6月8日から10日頃にかけて、6.x系の安定版カーネルにも迅速に適用されました
。Red Hat、SUSE、Debianなどの主要なLinuxディストリビューションも、サポート対象のカーネルブランチ向けにバックポートされた修正をリリースしています
。
Hyunwoo Kim氏は、2026年6月9日から10日頃にかけて、GitHub上で動作するエクスプロイトを公開しました。リポジトリには、完全なソースコード、詳細な再現手順、悪用手法の技術的解説が含まれています 。エクスプロイトは、DISCARDコマンドとLPI変換キャッシュの参照を同時に発行する仮想CPUスレッドを協調させることで競合を引き起こし、Use-After-Freeを精密に発生させ、ホストでのコード実行に繋げます。
信頼性の高いPoCが公開されたという事実は、汎用的なエクスプロイトスキャナーや現実の攻撃者が最小限の労力でこの脆弱性を武器化できることを意味し、情報公開から実際の攻撃開始までの猶予期間が極めて短いことを示しています。
AWS GravitonやAmpere Altraなど、マルチテナントのARM64 KVMインフラストラクチャを運用している場合、これは即時の緊急パッチサイクルが必要な事案です。
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ITScape(CVE 2026 46316)は、ARM64上のLinux KVMに存在する初のゲスト脱出脆弱性です。悪意のある仮想マシンが、ホスト上でカーネル権限の任意コードを実行可能になります。既に動作する公開エクスプロイトが存在します。
ITScape(CVE 2026 46316)は、ARM64上のLinux KVMに存在する初のゲスト脱出脆弱性です。悪意のある仮想マシンが、ホスト上でカーネル権限の任意コードを実行可能になります。既に動作する公開エクスプロイトが存在します。 KVMのvGIC ITS割り込み変換キャッシュにおける競合状態(Use After Free)が原因で、2024年4月下旬から2026年6月上旬までのカーネルが影響を受けます。
AWS Gravitonなど、マルチテナントのARM64ホストを運用する事業者は、直ちにパッチを適用するか、暫定策としてカーネル内仮想ITSを無効化してください。