今回の上場でCXMTが目指す資金調達額は、なんと295億元(約43億ドル)。 これは、2022年以降の中国本土市場では最大のIPO案件となる見通しだ。
ブルームバーグ通信は「人工知能の構築に不可欠な重要技術にとって、画期的な出来事だ」と報じ、 韓国の朝鮮日報も「あとは中国証券監督管理委員会(CSRC)の登録承認を残すのみ」と、上場が最終段階にあることを伝えている。
なぜCXMTは、これほど巨額の資金を必要としているのか。その答えは、爆発的なAI需要と、そのための先端工場と技術への投資にある。
CXMTの2026年第1四半期(1~3月期)決算は、その事業の急拡大を如実に示している。純利益は約33億元(前年同期は16億元の純損失)と、V字回復を達成した。 AIサーバー向けなどの需要増を背景に、収益は大きく改善している。今回調達する資金は、DDR5やHBM(広帯域メモリ)といったAI向け先端DRAMの量産ライン増強や研究開発に投じられる計画だ。
このIPOは、科創板の歴史においても、半導体受託生産最大手・SMIC(中芯国際集成電路製造)に次ぐ、過去2番目の大型上場となる。
一方、西安に拠点を置くUniICの歩みは、はるかに控えめで慎重だ。
2026年6月の報道によると、UniICは中国本土での上場に必須とされる「IPO指導(Tutoring)期間」を完了した。2026年初頭から始まったこの5カ月間に及ぶプロセスを経て、企業統治や法令遵守といった上場企業としての基礎的な準備を整えたことを意味する。
台湾の市場調査会社TrendForce(トレンドフォース)は、UniICが2026年1月5日に北京証券取引所での上場を視野に入れた公式な指導段階に入ったと指摘している。
このステップはIPOに向けた前進を示すものの、まだスタートラインに立ったばかりだ。UniICは、目標調達額をまだ一切公表しておらず、正式な上場申請書の提出段階にも至っていない。
| 項目 | 西安紫光国芯 (Xi'an UniIC) | 長鑫存儲技術 (CXMT) |
|---|---|---|
| 上場市場 | 北京証券取引所を計画 | 上海証券取引所 科創板 |
| IPO進捗状況 | 指導段階を完了。まだ初期段階 | 上場委員会の審査を通過。最終的な登録承認待ち |
| 調達目標額 | 現時点では未公表 | 295億元(約43億ドル) |
| 企業規模 | CXMTより小規模なDRAMメーカー | 中国トップのメモリチップメーカー |
| 主なマイルストーン | 2026年1月にIPO指導を開始 | 2025年12月に上場意向を報告。2026年5月27日に委員会審査を通過 |
UniICもまた、技術面では着実に布石を打っている。2025年半ばには、中国の店頭株式市場である「全国中小企業株式譲渡システム(NEEQ)」のイノベーション層(Innovation Tier)に移行し、私募債など新たな資金調達手段を確保。高容量のLPDDR4x/5x製品の投入や、次世代車載グレードのメモリチップ開発計画も発表している。
しかし、AI特需という大波に乗り、巨額の資金を必要とするメインプレイヤーのCXMTと、清華系の小さなライバルであるUniIC。中国DRAM業界のIPOレースは、両者の圧倒的なスピード差を映し出している。