反論チームはさらに、現代の超新星宇宙論においては、ホスト銀河の恒星質量補正(Host-galaxy Stellar Mass Correction) と呼ばれる標準的な補正プロセスが確立されていることを強調します。この補正は、銀河の質量や星形成の履歴といった環境要因が超新星の見かけの明るさに与える影響を統計的に取り除くために、通常の分析では不可欠な手順です 。
ところが、延世大学校チームの分析では、この標準的な恒星質量補正のステップが完全に省略されていました 。ワイズマン博士らが自らの論文でこの補正を適用したところ、韓国チームが主張していた「超新星の明るさと年齢の相関関係」は完全に消失したのです。超新星の明るさの進化や、それによる宇宙論的影響は、「無視できるほど小さいか、既に現代の分析では補正済みの効果に依存していた」と彼らは結論づけています
。
今回の反論の核心はシンプルです。つまり、超新星が年齢によって系統的に明るさを変えるという「進化効果」を主張するには、その前提となるデータ処理が不十分だったということです。
「ひとたび年齢に関する仮定が正しく扱われれば、宇宙膨張が加速しているという証拠、そしてダークエネルギーの存在は、いまも極めて強固なままです」とワイズマン博士らのチームは述べています 。事実、別の大規模なダークエネルギー探査(DES)のデータだけを用いても、宇宙が加速膨張していることは99.9999%以上の統計的有意性(5σ以上)で確認されており、ダークエネルギーは宇宙定数(アインシュタインが導入した概念)と矛盾しない、という結果が繰り返し示されています
。
宇宙の運命を左右する大論争は、超新星という「宇宙の灯台」の正しい扱い方をめぐる、科学の健全な自己修正プロセスによって、いま再び決着を見ようとしています。
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