これに追い打ちをかけたのが、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの決断だ。6月8日、アラムコはアジアの買い手向けに、主力のアラブ・ライト原油の7月積み公式販売価格(OSP)を1バレルあたり6ドル引き下げ、ドバイ/オマーン原油の指標価格に対するプレミアムを9.50ドルに設定した。この引き下げ幅は、2022年以来、単月で最大のものだった 。
③ OPEC+ の4カ月連続増産
供給面からも弱気材料が重なった。6月7日、OPEC+の主要7カ国(サウジアラビアとロシアが主導)は、7月の生産枠を日量18万8000バレル引き上げることで合意した。これは4月以降、4カ月連続の増産となる 。
これにより、自主的な減産幅の累積的な縮小は合計で日量約78万8000バレルに達した。この動きは、OPEC+が供給を制限する必要性を感じておらず、むしろ供給を増やす方向にかじを切っているという「供給増加の物語」を市場に印象付けた 。
④ アジア市場全体の弱さと中国の需要懸念
原油の最大の買い手である中国の動向も、下値を支えるどころか、下落を加速させる方向に働いた。中国の原油輸入量は急激に減少しており、原油価格が1バレル100ドルの大台を維持できない大きな要因となっていた 。
複合的な効果で崩れた原油価格の「根拠なき強さ」
これら三つの材料が重なり合うことで、紛争中に原油価格を押し上げていたリスクプレミアムが一気に崩壊したのである。結果として、その影響を最もダイレクトに受ける香港上場のエネルギー株が、この日の急落劇の主役となった。
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