ニューヨーク・タイムズ紙によると、米国とイランの交渉担当者は、イランの核開発計画を約15年間停止させる4つの核関連項目に交渉範囲を絞り込んだとされる 。しかし、イランのアッバース・アラグチ外相は公の場で「具体的な進展はない」と述べており、トランプ氏の楽観的な見方と真っ向から矛盾する
。
解決への明確な道筋が見えないまま、いくつかの根本的な問題が依然として交渉のテーブルに残っている。
外交的枠組み全体の脆弱性は、6月7日から8日にかけて、4月8日に発効したイスラエルとイランの停戦が崩壊した際に露呈した。イスラエルによるベイルート空爆が引き金となり、イランが2か月ぶりにイスラエルに向けてミサイルの一斉発射を行い、イスラエルがイランの石油化学コンビナートへの報復攻撃を行うという、警戒すべき一連の応酬が急速に展開された 。
エスカレーションは激しかったものの、24時間も続かなかった。トランプ大統領が直接事態の沈静化を呼びかけた後、双方は急速に手を引いた 。イスラエル軍筋は、トランプ氏の要請を受けてイランへの空爆が一時停止されたと示唆している
。
しかし、この停戦合意は極めて危うい条件付きのものだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はテレビ演説で、イスラエルは「当面の間、イランへの攻撃を控える」と述べたが、再び攻撃を受けた場合には「断固として」対応すると警告した 。イランもまた軍事作戦の終了を宣言したが、特にレバノンでの「攻撃的行為」をイスラエルが続けるならば、作戦を再開すると警告している
。2か月に及ぶ協議にもかかわらず、当局者らは当初の停戦を恒久的な和平に転換することができずにいる
。
米国とイラン以外の主要な関係者の立場も、合意への道筋をさらに複雑にしている。
ネタニヤフ首相のイスラエル: イスラエルの立場は強硬かつ条件的だ。ネタニヤフ氏は明確な米国の圧力の下でのみ攻撃停止に同意しており、イスラエルの自制は明示的に一時的なものである。6月7日~8日の衝突激化中に、イスラエルがベイルートとイラン領土の双方への攻撃を再開した事実は、同国が単独行動を取る意思を裏付けている 。
イランの指導部: イランは引き続き、自国の軍事行動をイスラエルの攻撃と継続中の米国による海上封鎖への対応として位置付けている 。パキスタンを介した裏チャンネルで外交に関与する一方、テヘランはトランプ氏が公に主張する範囲の譲歩には同意していない
。またイラン外相は、E3諸国(英国、フランス、ドイツ)を現在のプロセスにおいて「無関係」と一蹴し、ワシントンとの二国間取引に焦点を当てていることを示唆している
。
蚊帳の外に置かれた欧州: 英国、フランス、ドイツは交渉の正式な席を求めて積極的に働きかけているが、現状ではほとんど排除されている 。EUのカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は、核の専門家が交渉のテーブルに着かないまま成立するいかなる合意も、2015年の歴史的な核合意(JCPOA)よりも弱いものになるリスクがあると警告している
。イランがE3諸国を「無関係」と切り捨てたことは、元の核合意が崩壊して以来、欧州の影響力がいかに損なわれてきたかを如実に反映している
。
結論として、認識と現実の間には広く危険な溝が存在する。 トランプ大統領は公に、迅速な「完全勝利」と数日から2週間以内の合意を約束している。しかし舞台裏では、交渉担当者はいくつかの核問題の論点を絞り込んだものの、制裁、海上封鎖、そして軍事的側面を巡る根本的な意見の相違は未解決のままだ。イスラエルとイランの前線は、和平ではなく、条件付きの武力による一時停止状態にある。欧州はそれを傍観している。トランプ氏が宣言したタイムラインは、持続的な解決にはほど遠い、複雑で多面的な紛争の否定できない現実に直面しているのだ。
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