その後、ネタニヤフ氏はイスラエル軍に攻撃準備の中止を指示した 。わずか15時間での停戦は、イスラエルを予期せぬ立場に追い込んだ。ニューヨーク・タイムズ紙はこの一連の出来事を、イスラエルとその指導者が「以前よりもトランプ氏に依存しているように見える」と評した
。もしネタニヤフ氏がトランプ氏の仲介によるイランとの外交ルートを頓挫させようとしていたのなら、大統領の停戦要求とイスラエルの大規模作戦の撤回は、その目的が達成されなかったことを示唆している
。
原油価格は突然の停戦に敏感に反応した。応酬のさなか、北海ブレント原油は一時5%も急騰したが、イランとイスラエルが攻撃停止を発表すると、その上げ幅を急速に縮小した
。6月9日火曜日にはブレント原油は約1%下落し、1バレル=93.34ドルに。一方、米国のWTI原油先物も90ドル近辺まで値を下げた
。差し迫った脅威は後退したが、トレーダーたちが警戒を解けなかった理由は二つある。双方が戦闘再開の可能性を警告していたこと、そして世界の石油輸送量の約2割が通過する重要なシーレーンであるホルムズ海峡が、まだ完全には再開されていなかったことだ
。
このパターンは、2026年4月初旬に発表されたより大規模な停戦合意の際の反応を彷彿とさせる。当時、原油価格は1991年の湾岸戦争以来の最大の下落率となる16%安を記録し、ブレント原油は95ドルを割り込んだ 。その時でさえ、アナリストたちは、損傷したエネルギーインフラやシーレーンの再開の遅れを理由に、価格が紛争前の水準である1バレル=70ドル近辺にまで落ち着くには数カ月かかるだろうと警告していた
。今回の6月の衝突は、外交の枠組みが脆弱である限り、ニュースの見出し一つで市場が乱高下する状況が続くことを改めて示した
。
トランプ氏の介入は、この地域の重要な関係性を再調整した。ワシントンがテヘランとの包括的な核合意の交渉に注力する中、米国はイランに対し、もしイランが攻撃を停止するならイスラエルも攻撃を停止すると伝達。イランはその後、攻撃作戦の停止を発表した
。トランプ大統領は、緊張緩和こそが外交の窓を開けておくために不可欠だと位置づけた
。
米国とイスラエルの関係は、最も目に見える形で緊張した。トランプ氏がイスラエルへの支援を留保する可能性を公然と示唆し、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで「司令官は私だ。すべての指示を出すのは私であり、彼(ネタニヤフ)ではない」と語ったことは、イランの核問題をめぐるイスラエルの軍事的自由が、もはやトランプ氏の外交日程によって枠をはめられていることを強調するものだった 。ネタニヤフ氏は公式には、トランプ氏が双方に停戦を促したことに謝意を示したが、この出来事は同盟国間の通常の摩擦よりもはるかに深い亀裂を露呈させた
。脆弱な停戦の枠組みは維持されたものの、永続的な平和への明確な道筋が見えないまま、地域外交の長期的な見通しは不透明なままだった
。
トランプ氏の警告を受けてネタニヤフ氏が軍事作戦の中止に同意したことは、同氏の政治的立場を極めて脆弱なものにした。ニューヨーク・タイムズ紙が指摘したように、この急転直下の対応は、イスラエルがこれまで以上に米国大統領に依存しているという印象を強めた 。この認識は、国内の批判をさらに勢いづける可能性が高い。ネタニヤフ氏の当初の攻撃が、トランプ氏の仲介する核協議を試し、あるいは損なおうとしたものだったとすれば、イスラエルが計画を完全に実行する前に大統領が停戦を迫ったことで、その目論見は裏目に出たと言える
。
ネタニヤフ氏はビデオ声明で巻き返しを図った。「火は保留された」と述べ、イスラエルの攻撃がイランを抑止したと主張し、再び攻撃を受ければ「強力に反撃する」とも語った
。しかし、計画された大規模作戦、アメリカからの最後通牒、そして急な方針転換という一連の出来事は、政敵に格好の攻撃材料を与えた。批評家たちは今や、イスラエルの抑止力がエルサレムの計算だけではなく、ワシントンからの許可に左右されると主張することができる
。
6月の危機は、単に軍事的な衝突を一時停止しただけではなかった。それは、米イスラエル関係における根本的な変化を露呈させた。イランとの核合意を優先するトランプ氏の焦点は、イスラエルの戦略的な意思決定をアメリカの外交的優先順位の影に置くことになった。そして、ネタニヤフ氏の政治的な未来は、この新しい現実をいかにうまく舵取りできるかにかかっているのだ。
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