2026年6月8日、ハーバード大学医学大学院とプリンストン大学の研究室が主導する国際研究チームが、成虫のショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の**中枢神経系全体を網羅する初の完全なコネクトーム(神経配線図)**を、科学誌『Nature』に発表しました 。これは、眼球や脚を持ち、歩行や飛行、求愛、学習といった複雑な行動を示す成体動物としては世界初の快挙であり、約14万個のニューロンと5450万以上のシナプスがマッピングされています
。
今回の成果は、歩く、飛ぶ、食べる、学習するといった複雑な行動を可能にする動物の脳にとって、初の完全な「部品表」であり「配線図」です。これにより、感覚入力から処理回路を経て行動出力に至るまで、単一シナプスの解像度で信号の流れを追跡することが可能になります
。
人間では難しい遺伝子操作も、ショウジョウバエなら容易です。人間の脳疾患に関連する遺伝子変異が、実際の神経配線にどのような影響を与えるかを、このマップ上で直接研究できるようになり、精神・神経疾患のメカニズム解明が加速すると期待されています
。また、この成果は、マウス、そして最終的には人間の脳へと、コネクトミクスの規模を拡大していくための重要なベンチマークとなります。
ショウジョウバエの小さな脳は、現在の巨大AIが消費する電力のほんの一部で、現実世界の問題を解決しています。この神経配線図は、驚異的なエネルギー効率を進化の中で獲得した、生物のニューラルネットワーク・アーキテクチャの設計図を提供するものです 。
この知見は、脳の実際の配線を模倣した省電力チップやアルゴリズム、すなわち次世代のニューロモルフィック・コンピューティングの開発に直接的な着想を与えます。さらに、今回のプロジェクトで開発された、AIによるニューロンの自動抽出や校正技術は、今後より大きな動物の脳をマッピングするプロジェクトにもそのまま応用可能です 。
今回のコネクトームは、視覚、嗅覚、触覚、固有感覚(関節の角度や筋肉の伸びなどの感覚)を統合し、機敏な歩行と飛行をいかに少ない神経細胞で実現しているか、その秘密を明らかにしました
。
約14万個という限られたニューロン数で、どのようにしてリアルタイムの航法や障害物回避を達成しているかを理解することで、現在の重いAI処理に依存する手法とは一線を画す、はるかにシンプルで低消費電力な自律飛行ドローンやマイクロロボットの制御システムが生まれる可能性があります。
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2026年6月8日、ハーバード大学医学大学院とプリンストン大学の研究室が主導する国際チームが、成虫のショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の中枢神経系全体の完全なコネクトーム(配線図)を『Nature』誌に発表しました。これは、眼球や脚を持つ成体動物として初の快挙です [1]。
2026年6月8日、ハーバード大学医学大学院とプリンストン大学の研究室が主導する国際チームが、成虫のショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の中枢神経系全体の完全なコネクトーム(配線図)を『Nature』誌に発表しました。これは、眼球や脚を持つ成体動物として初の快挙です [1]。 今回の地図は、脳だけでなく、運動や感覚、行動を制御する腹側神経索(人間の脊髄に相当)も含めた、全中枢神経系をシナプスレベルで描き出した初の完全な配線図であり、約14万個のニューロンと5450万以上のシナプスをカバーしています [3] [8] [11]。
この研究では、ニューロンを8400種以上の異なる細胞種に分類し、単一細胞レベルでの神経構造の驚くべき多様性を明らかにしました [3]。この成果は、AIによる画像解析と、数百名の市民科学者による手作業での校正を組み合わせた「FlyWireコンソーシアム」の協力によって達成されました [4] [7]。