ここで注目すべきは、iPhone 17の標準モデルが非対応である点です。iPhone 17は8GBメモリを搭載しているため、12GBの閾値に達しません。アップルのソフトウェア責任者であるクレイグ・フェデリギ氏は基調講演で、この最新モデルがもたらす「表現力豊かな音声」や「高度な音声入力・書き起こし」などの機能は、最も高性能なデバイスでのみ体験できると説明しました。
なお、非対応のiPhone 17でもiOS 27へのアップデート自体は可能であり、プライベートクラウドコンピュート(PCC)経由で多くの機能を利用できますが、処理速度や応答性ではオンデバイス実行に劣ります。
Siriは、単なる音声アシスタントから、**独立したAIチャットボット「Siri AI」**へと進化しました。この再構築は、Googleの大規模言語モデル「Gemini」なくしては実現しなかった大改修です。
Siri AIは、iOS上で初めて専用アプリを持つことになりました。このアプリは、ChatGPTを彷彿とさせるチャット形式のインターフェースを備え、以下の機能を提供します。
新生Siri AIの最大の武器は、OSやアプリとの深い統合です。ユーザーが画面に表示している内容を理解する「オンスクリーン・アウェアネス」機能により、例えばメールの内容について質問したり、Webページの要約を依頼したりすることが可能になりました。
また、ユーザーのメッセージ、メール、写真、カレンダーなどの個人データを横断的に検索し、文脈を理解した上で質問に答える「パーソナルコンテキスト」も搭載されています。「去年の夏に撮ったビーチの写真を探して」といった曖昧な指示にも対応できるようになります。
インターフェースも再設計され、Siriは常時Dynamic Islandに表示されるようになります。画面中央上部から下にスワイプするだけで、「Search or Ask」機能を呼び出せるようになりました。
アップルは、自社開発のAIモデルだけでは今回の大規模な刷新に対応できないと判断し、Googleと提携。Siri AIの中核推論エンジンにGeminiを採用しました。この契約は年間約10億ドル規模と報じられています。
このパートナーシップに伴い、アップルは独自の3層プライバシー構造を導入しました。
iOS 27では、「Extensions」と呼ばれる新しいフレームワークが導入され、Siriやシステム全体のAI機能が、サードパーティ製のAIチャットボットに開放されます。
これは、ユーザーがデフォルトのWebブラウザを選べるように、デフォルトのAIエンジンを選択できるようになることを意味します。対応が発表されているAIサービスは以下の通りです。
ユーザーがこれらのアプリをインストールし、Extensionsで設定することで、Siri、作文ツール、Image Playgroundなどのシステム機能で、選択したAIを直接利用できるようになります。さらに、企業が自社専用にカスタマイズした「エンタープライズエージェント」を連携させることも可能です。
これらのサードパーティAIは、ユーザーの許可があれば、Siri AIと同様にオンスクリーン・アウェアネスやパーソナルコンテキストといったシステムレベルの機能にもアクセスできます。
強力なAI機能を無制限に使えるわけではない点に注意が必要です。特に、画像生成など、サーバー側のAIモデルを使用する機能には、1日あたりの利用上限が設定されています。
基調講演や開発者向けセッションでは、この上限はユーザーごとに適用され、有料のiCloud+プランに加入することで上限を引き上げられることが明言されました。オンデバイス処理には上限はありません。
Siri AI以外にも、Apple Intelligenceは以下のような分野で大きく進化しています。
なお、Siri AIは、EUではデジタル市場法(DMA)の影響により、当面iPhoneやiPadでは利用できない見込みです。
iOS 27は、アップルがAIネイティブなOSへと大きく舵を切ったことを示すアップデートです。その核心は、Google Geminiという強力なエンジンを内部に持ちながら、プライバシーを担保する3層構造を構築した点にあります。
しかし、最も革新的なオンデバイスAI体験がiPhone 17 Pro/Pro MaxやiPhone Airといった限られたデバイスでのみ享受できるという事実は、今後のiPhone購入における「メモリ容量」の重要性を物語っています。8GBメモリのiPhone 17標準モデルでさえ最新AI機能の一部から取り残される現実は、ユーザーのデバイス選びに大きな影響を与えるでしょう。
Siriの再定義、サードパーティAIへのプラットフォーム開放、そして段階的に強化されるプライバシー管理。iOS 27は、私たちのデジタルライフにおけるAIの役割を、よりパーソナルで、より強力で、しかしより複雑なものへと変えようとしています。