ただし、良い面ばかりではありません。世界の石油輸送の大動脈であるホルムズ海峡での緊張は、燃料価格と海上運賃の高騰を招きました。このコスト増は、2026年第1四半期における価格上昇と数量増の恩恵を部分的に相殺しています 。業界全体で見ても、鉄鉱石のコストは戦争の影響で1トン当たり5~10ドル押し上げられたと分析されています 。また、オマーンにあるペレット工場は物流の混乱により一時的な生産停止を余儀なくされました 。
地政学的な変動をものともせず、ヴァーレの足元の業績は極めて堅調です。2025年通期の主要財務指標は以下の通りです。
| 指標 | 2025年実績 |
|---|---|
| 純営業収益 | 384億ドル |
| 調整後EBITDA | 155億ドル |
| プロフォーマEBITDA | 159億ドル |
| 経常的フリーキャッシュフロー | 48億ドル |
| 鉄鉱石 C1現金コスト | 21.3ドル/トン(前年比2%減) |
| 鉄鉱石 オールインコスト | 54.2ドル/トン(前年比3%減) |
特筆すべきはコスト管理の成果です。鉄鉱石のC1現金コストは2年連続で低下し、オールインコストも順調に削減されています。これは「価値がすべて」という経営哲学の表れと言えるでしょう。
収益の柱は依然として鉄鉱石ソリューション部門で、全体の78.5%を占めています。しかし、銅とニッケルを中心とするベースメタル部門も存在感を増しており、収益の21.5%に達しています 。生産面では、鉄鉱石が3億3,600万トン、銅が38万2,400トン、ニッケルが17万7,200トンと、いずれも2024年実績を上回り、ガイダンスも達成しました 。
ピメンタCEOのリーダーシップの下、ヴァーレの成長戦略は明確な輪郭を描いています。最大の焦点は銅の大幅な拡大です。
ヴァーレは今後数年間の具体的な数値目標も示しています。
セグメント別の生産目標
コスト目標
設備投資と資本配分
ピメンタCEOは「オペレーショナル・エクセレンス(卓越した業務執行)と規律ある資本配分」を戦略の両輪に据えています 。2026年の設備投資額は54億~57億ドルと、2025年の59億ドルから抑制される見通しです。このうち約40億ドルが鉄鉱石事業に振り向けられますが、2027年以降は銅とニッケルへの投資比率を徐々に高めていく計画です 。長期的な設備投資の上限は年間60億ドル未満に設定されています 。
ヴァーレの強気な見通しを支えているのは、需要環境へのポジティブな読みです。